1位 花宮真
2位 名字名前



定期テストの結果が出た。
入学当初から変わらず、俺は学年一位をキープしていた。
そして、こいつ。名前は、その次の二位を変わらず獲得していた。

頭は、俺よりは劣るとはいえ、かなり良かった。
中学時代、一度数点差で抜かれた事もあった程に。
……まぁ、少なくともその頃のこいつは、周りとの付き合いが良好で、精神的にも今とは全く状況が違う訳だが。


俺はその順位が貼られている掲示板から離れ、教室に戻る。
ほとんどの生徒はその掲示板に群がっていた為、教室にはほとんど人が居なかった。
学年二位の、こいつ以外は誰も、教室には居なかった。
名前は順位なんかに興味を示さないようで、一人で席に座り、俯いていた。
……あ。

俺は早足で近付き、名前の右手を掴む。
あっ、と、名前は小さく息をのんだ。



「……またかよ。目の次は腕でも貫通させんのか。」


無理に決まってるがな、と鼻で笑いつつ、目先の名前を睨んだ。
名前はびくびくしながら、小さい声で「ごめんなさい」って呟いていた。
……名前は、赤黒い生傷をシャーペンでつついていたのだ。
俺は自分の鞄から絆創膏を取り出し、その傷に貼った。


「お前、昨夜は」
「……ふたつ、だけ」


昨夜は何かしたのか、と言う問いかけだった。
毎日聞くことだが、未だに「何もしてない」という報告を聞いたことはない。


「ふたつもだバァカ。何やったんだよ」
「こ、じょうやき」
「は?」
「根性焼き、ふたつ……」


本当にこいつは馬鹿なんじゃねえかと思う。
頭はいい癖に、なんでこうにも馬鹿なんだ。
根性焼きは以前にも確か3回はやっている。
この2回で、計5個の火傷がこいつにはあるわけだ。
……傷の量はそんなものではないが。


「煙草、今持ってんの? ライターは?」
「……もってない」
「どーだか」


高校生で煙草持ってる奴なんて頭の弱い不良ぐらいなものなのに、こいつは根性焼き目当てってだけで持ってる。
見つかったら良くて停学、最悪退学だってのに。
俺はこいつの鞄をひったくって、中身をあさった。
案の定、奥の方から煙草二箱、ライターが出てきた。
ついでに新品のカッターもあったので、それも没収する。


「こんな馬鹿なこと、早くやめろって。いつになったらやめんだよ」


頼むからこれ以上、自分を傷つけないでほしかった。



20121012

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