真っ白な世界。誰もいない。ただわたしひとりだけが、ぽつんと立ちつくしている。何も聞こえない空間の中、何かが見えて来た。見覚えのあるそれは、中学の頃の教室だった。わたしは当時の友人達と笑いあいながら話をしていた。懐かしい。彼女達の名前は一体なんと言っただろう。もう思い出せなかった。

やがてまた別のものが見えてくる。花宮くんだった。座席が隣だった時。花宮くんと親しくなりだしたころだ。優しそうな顔の裏での性格の悪さを垣間見た、唯一のクラスメイトがわたしだった。色々見えないところで意地悪をしてきて、優しくはなかったけど、それでも花宮くんと話しているのは楽しかった。それは、覚えていた。

ドーン、と、突如音がした。やがてまた同じような音が何発も何発も続いた。花火の音だ。振り返ると、そこは夜の川沿いの草むらだった。気色悪い男達にわたしは囲まれ泣いていた。


見たくない。それなのに目を閉じ視界を遮断することが出来なかった。泣き叫ぶわたしの口に、見るのも嫌な男一人の汚い男のモノが押し込められる。髪の毛を乱暴に掴まれる。笑われながら写メを撮られた。後ろでもう一人の男の動きが早まった。乱暴で、汚らわしい男達にぐちゃぐちゃに嬲られていく光景は、確かにわたしが経験したものだ。花火が、あがる。


やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて嫌嫌嫌嫌嫌やめてやめてやめてやめてやめてやめて嫌嫌嫌嫌だ嫌だ気持ち悪い嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌やめてやめてやめてくださいやめてくださいおねがいやめてやめておねがいしますやめてください気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!!!!やめてやめてやめてやだイタイイタイやだやだ痛い痛いイタイ苦しい嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌やめて痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイイタイ気持ち悪い気持ち悪い汚い汚い汚いイタイイタイ気持ち悪い気持ち悪い汚い汚い気持ち悪いやめてやめて嫌だ嫌だ嫌嫌イタイイタイ嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌!!!!!!!!!






名前、何点だった?はっ、俺の方が点数上。バーカ。なんだよ俺に勝ったことなんかねーのによ。悔しかったら抜いてみろ。名前って花宮くんと仲良いよねー羨ましい!え?花宮くん優しいじゃん、モテるし。えー、そうかな?そんなこというの名前くらいだよ。そんだけ名前と花宮くん仲良いってことかー、羨ましいなあ羨ましい!ちげーよ。……連れが勝手に先帰っちまって、今帰るとこ。そりゃ、簡単にできちゃ商売になんねぇだろ。あとお前が下手クソなんだよ。うるせーな、やってやるよバァカ!な、できるっつったろ。ったりめーだろ、俺がクマのぬいぐるみなんか要るわけねーだろ。……な、なんなんだよお前急に。頭おかしいんじゃねーの。う、うるせっ!! ……公園ついたし、ちょっとトイレ行ってくる!!ねえ、君一人なの?ぬいぐるみかわいいねー、君も可愛いけど。なあ、今日この子で良くね?おー、いいじゃん、胸あるし。ほら来いって…暴れんな!!この辺でいーんじゃねーの?はははかっわいー!誰からいく?俺こないだ挿れらんなかったから俺にさせろよ!じゃーおれ咥えてもらおー。歯たてんなよ。浴衣って脱がしずらいよなー…暴れんなっつったろーが!誰か腕縛れ!あーキツ…あ、出血してる、処女かよラッキー!おい早くしろよ俺らも溜まってんだようるせーなわかってるよあははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!………………おい!おい!!名前!聞こえるか!?返事しろ!頼むから!!名前!!名前!!!!起きてくれよ!!!なあ!!!!名前!!!!!!!!










目を、開いた。眩しくて、開いてすぐに目を細めた。白い天井が視界に飛び込んでくると同時に、全身に痛みを感じた。動けない。起き上がれない。見れる範囲周りを見渡していると、膝の上に重さを感じた。黒髪の綺麗な頭が、ベッドの近くに腰掛けて、わたしの膝の上に頭を乗せて寝ていた。痛みに耐えながら手を伸ばして、髪を掻き分ける。顔が見えた。花宮くんだ。すっかり眠っている花宮くん。花宮くんの寝顔、初めて見た。


「名字さん……? 先生!!名字さんが意識を戻しました!!!」


ちょうど病室に来た看護師さんが、医者の先生を呼んで来た。色々と質問をされて、なんとなくで答えた。花宮くんのことを聞いた。わたしが病院に運び込まれてからずっと、近くに居てくれたらしい。すっかり眠ってしまっている花宮くんをもう一度見て、安心すると、わたしはまた眠った。



20130830

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