「――――っ!!」
ガバッ、と掛け布団をどかして起き上がる。
汗が噴き出して、同時に吐き気が込み上がってくる。
フラフラの体を引きずって洗面所に飛び込んだ。
また、あの夢だ。あの、夏祭り。
何度も夢に見る。忘れそうになるとそれを遮るように、夢に見せられる。
暗闇にひきずりこまれる感覚。口に布を詰められて、上手く息ができなくて、声も出なくて。
気持ち悪い無数の手に体中を弄ばれる感覚。全てがフラッシュバックしてくる。
頭が痛い。心が痛い。何も考えられない。でも気分の悪さは晴れないし忘れる事だってできやしない。
何もかも、あの時のことは全て覚えている。どんなに忘れようとしても、あの悪夢はあたしに永遠に付きまとう。
「はぁ……げほ、あぁ……ッ……」
涙がぼろぼろ溢れて来て、声も出ない。
お腹も痛い。というか気持ち悪い。あいつらの精液なんてもう一滴も残って無いのに、下腹部内を弄られている気がしてしょうがなかった。
そんなこと、あるはず無いのに。
やだ。やだ、やだ。やだやだやだやだやだやだやだ。
腕じゅうにある傷が無性に痒く感じた。
何でかなんてわかんない。それでも痒いのは本当で、我慢できずに掻き毟る。
瘡蓋が剥がれて血が染み出してくる。傷口が広がって、深くなって、血が流れて。
床が、赤くなる。
あれからどのくらい時間が経ったのかはわからない。
わからないけど、自分自身大分落ちついて、洗面所から部屋へと歩いた。
血が止まった傷は痛々しく残っている。
花宮君に、また怒られてしまう。
時間はもう朝6時を示していた。今日もまた、学校がある。
ため息をついたところで、携帯がメール受信でランプを光らせているのに気が付いた。
メールは、あの時アドレスを交換今吉先輩だった。
20130118
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