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side:ナマエ










クラウスと私の話をしましょう!

意地悪な継母に言われて井戸に水を汲みに行っていた私。私の美しい歌声につられて集まってきたことり達とお話をしていた時に現れたのがクラウスで…、はいはいザップちゃん。私とクラウスの出会いはそんなスノーホワイトじみてなかったわよ。

そう。私とクラウスは牙狩り時代に出会ったの。先にいたのがスティーブン、私、そして後から来たのがクラウスだったの。牙狩りの時は毎日が刺激的だったわよね。今もそうだけどこんなに文化人の生活では無かったわ。配給された缶詰を食べたり、固くなったパンを柔らかくする為に雨水を沸騰させてそれで作ったスープに付けたりね。ティーンエイジャーで配給された食べ物だけじゃ足りなかった私達は食べられそうな物なら狩って何でも食べたの!蟻食べたことある?種類によっては甘いのもあるのよ!よくクラウスはお腹壊してたわよね!あら、クラウス聞いてたの?それは言わなくて良かった?失礼、ふふ。

とにかく出動が掛かれば世界の何処でも構わず派遣されたの。クラウスとの任務はお気に入り。彼ったらいつでもどんな時でも私をプリンセスみたいに扱ってくれるの!電車の乗り降りは必ず手を引いてくれたし、自分の必要物資が入ったリュックは持ったけど、それ以外の重い機材なんかを運ぶ時は彼、私に持たせたこと無かったの。当時の私はもうクラウスにメロメロよ。ラインヘルツ家の三男なんて甘ったれよって思ってた私をボコボコに殴ってやりたい!スティーブンに「クラウスに懺悔するの!殴って!」って言ったら、スティーブン貴方ってば本当に私の頬をビンタしたわよね。ふふ、えぇそうよ、私が言ったからだものね。分かってる。それでもクラウスに女性を殴るなんて!って大喧嘩になってたわよね。私の為に争うのはやめて!って初めて言ったの。楽しかったわ!


それからしばらくして、一度家へ戻る時があったの。新体制を作るためよ。新しい組織を作ることになって、クラウスがそこのリーダーに決まったの。場所はNY。私もクラウスについて行きたかった。

でも私の家族、ワーグナー家がその必要は無い、牙狩りで経験を積むべきだと言われてね。あぁ、もうこれでクラウスのハピネススウィートデイズは終わりなのね!って嘆いた、そんなある日。クラウスがオーストリアにあるワーグナー家の本家へ訪れるって手紙が届いたの。父も母も驚きよ。あのラインヘルツ家のご子息がうちへやってくる!でも私はきっとNYへ行く前に別れを言いにやってくるんだわって思ってたの。彼は私のことを友人としてしか見てなあと思ってたから。別れを手紙で済ませないのは彼が律儀な人だから。新たな門出に立つクラウスを、私は美味しいお茶とお菓子でもてなし送り出そうこの気持ちは大切にしまっておこう。そう思ったの。もうここに来ることは無い。

だから私は、高祖父にいただいた花園へクラウスを案内して、そこでお茶をしたの。父も母も庭師さえも入らせない、私の秘密の庭。



「ナマエ、君さえ良ければ、ぜひとも私の妻に迎え入れたい」



輝く昼下がり、曽祖父にいただいた私だけの秘密の花園。そこでプロポーズされたの。聞こえだけはいい。君さえよければ、なんて言い方してるけれどラインヘルツ家からの求婚を断ることは格下の私には出来ないの。というか、そもそも、



『クラウス、あなた私に好意があったの?』
「む、勿論だ」
『あなたからそんなこと聞いてないわ』
「私は貴女を愛しているよ」
『順序がおかしいのね、ふふ』



こうして私達は結婚へ至ったの。



「旦那、ナマエさんに手出すの意外と早かったんだな。」
「何言ってるんだザップ」
「牙狩りで出会ってしばらくして家帰って結婚申し込んで、って十分手が早ぇじゃないですか」
「その暫くがどれほどか分かってるのか?」
「へ?」
「10年だぞ」
「じゅ…、!?」
「俺はクラウスとナマエのお互い好きだろうに気持ちを伝えないうだうだしたもどかしい関係を十数年見せられてきたんだ。勘弁してくれって感じだろ?」
「む…」
『あら!スティーブンあなた知ってたならもっと早くくっつけなさいよ!(と、言いつつ私もクラウスと結婚する為にクラウスの元へ行くお見合いを全て破棄させたりクラウスが私の事を意識するように外堀から攻めたりしたんだけどね。)』
「君が結婚出来たのも僕の一声があったからだと感謝してほしいくらいなんだけどねえ?!なあ、クラウス?!」
「む…」
『あらあなた、まだ私に何か秘密にしていることがあるの?』
「そ、それは…」
「(俺にNYに来て欲しいといった時ナマエとの関係をハッキリしないと行かないと言ったはいいものの、気持ちを伝えてこいってつもりで言ったのに、まさか結婚を申し込むなんて、

さすが我らがリーダーだよな。)」




end.