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イルミちゃんやミルキちゃんはキキョウさんとよく似ているところが多いが、三人目に生まれたキルアちゃんはシルバによく似ていた。

ゾルディック家は銀髪の子が跡を継ぐことが決まっている。

ついに生まれた跡継ぎの子に、皆大喜びした。ゼノさんも孫達と言えど厳しいしつけをしていたが、キルアちゃんに関してはほんの少しだけ甘い気がしてならないの。家族がキルアちゃんの成長を喜ぶ中、少しだけ様子が変わったのはイルミちゃんだった。



「お祖母様、入っていいかな」
「あら、イルミちゃん。どうぞ」



読んでいた本をサイドテーブルに置き、ドアを見つめる。控えめなノックと共に入ってきたイルミちゃんはどこかぼんやりとしていて、どうかしたのと尋ねようとした時、あの子自ら椅子に座る私の膝に顔をすり寄せた。



「お祖母様、俺のこと好き?」
「勿論よ!あなたのことが大好き」
「キルと俺なら、どっちが好き?」
「どっちも大好き」
「…そんなのずるいよ」



膝に額をすり寄せるイルミちゃんはまるで子猫みたいで、つやつやした黒髪を撫でれば「俺もお祖母様が好きだよ」と小さく呟いてくれた。きっと今まで長男として期待されてたことと、キルアちゃんが生まれて長男なのに跡継ぎにはなれないことと、様々な事に挟まれて戸惑っているのね。



「私はいつでもあなたの味方ですからね」
「…うん」



子猫みたいな黒くて丸い可愛い瞳に私の姿を写すこの子に、幸せな未来がありますように。そう願わずにはいられなかった。





***




母は昔から賢い人だった。ゾルディック家という名を背負ったばかりの当時から、家の伝統に流されず、子どもの世話は執事ではなく自身で行いたいと申し出たのも母が初めてだった。
人を見る目もある母は、定期的に親父と流星街へ赴いてはゾルディック家の執事にする人材を見つけている。ゴトーやカナリアも母が連れてきたうちの一人だ。


銀髪のキルが生まれたことで跡取りが決まり、今までゾルディック家の長男として生きてきたイルミの変化にも一番に気付いていたし、今回だって、キルが何か抱えているのを母は気にしている。



「母さん、俺はキルに厳しすぎるだろうか」
「いいえ。後継者に技術を伝えるのは当然のことよ。何も悪いことは無いわ」
「…何か、俺に言いたいことはある?」
「そうね…
もし、キルアちゃんがいつもと違う動きをしたら、まずは見守ってあげたらどうかしら」
「…キルは母さんによく懐いている。何か言ってきたのか?」
「いいえ。まだ何も言われていないわ。」
「嘘はついていないよな」
「息子の貴方に嘘をついて一体何の得になるっていうの。ただの勘よ、勘」
「その勘が一番当たるからなぁ…」



母の口から出てずっと違和感だった“ まだ何も言われてない ”という言葉は、数ヶ月後にキルがキキョウとミルキを刺した、という報告とともに納得することとなる。




2021.02.19