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花の名


(高専時代)







『じゃーん!硝子さん見てください!私の可愛い妹です!』




携帯の画面をこれでもかというくらい顔に近付けられ、家入の目には最早何が映っているのか色しか分からない。

顔を背けて携帯と距離を取ると、そこには高専の制服を着た雛罌粟と、その腕には彼女に抱かれた同じ黒髪の小さな女の子がいた。雛罌粟に抱かれているその女の子の顔はあからさまに嫌がっている。




「妹嫌がってるじゃん」
『何言ってるんですか!私のこと大好きだけど恥ずかしがってるんですよ!照れ屋なんです!』
「そう…?」
『はい!』




家入はそれでも太陽のように輝く笑顔を浮かべる二つ下の後輩につられて笑みを浮かべた。




「名前はなんて言うの」




雛罌粟はふふん、と得意げな顔をした。




『野薔薇ちゃんです!』





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