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『アキ、起きて。アキ』
「んん…」


隣で俺を揺する名前の足を絡めると、硬く冷たかった。渋々目を開き布団の中を見るとそれは彼女の左足代わりの義足。悪魔との契約の時に持っていかれたのだ。


『悪いね、柔らかい足じゃなくて』


ニヤリと笑う名前の顔が見えた。


「…胸」
『はいはい』


名前に被さり、その胸に顔を埋めるように乳を寄せ、鼻を塞がないように乗せる。甘い匂いが鼻孔から入る。顔が埋まるこの大きさも、きめの細かい柔らかな肌も、全てが好きだ。この匂いで肺がいっぱいになるように鼻から息を吸えば擽ったそうに笑う声が聞こえた。


『変態だね、あっくん』
「男は皆変態だ」


名前と目が合う。


『今日も生きて帰れたら唐揚げにするから、アキの家で食べようね』
「…アイツらが喜ぶな」


そのまま後頭部を掴んでキスをして、
俺達は名前の家を出た。




***




その夜。仕事を終えた名前が家に来た。


「うおお!!!名前様だ!!!」
「名前が来た!!!おい!!名前が来たぞ!!」
『子ども達、今日の飯は唐揚げだぞ』
「「うおおおお!!!」」


名前から渡された唐揚げタッパーを高らかと上に挙げ、バカ共が騒ぐ。


「アキ、姫野さんから煙草の差し入れだってさ」
「サンキュ」


名前からコンビニの袋を受け取った時、動きが少しだけぎこちなく、ふと気になった。


「…肩、痛いのか?」
『あー…今日の討伐が鋏の悪魔でね。ちょっとかすっただけだよ』
「見せろ」
『絆創膏で済む怪我だよ?』
「この前もそうやって結局三針縫っただろ」
『えへ』


名前の着ていたトレーナーの首元をずらすと、絆創膏が見えた。血は滲んでいない。出血は止まってるようで安心した。今回は本当に小さい傷だったようだ。


『アキ、お腹空いた』
「そうだな」


名前にキスしようと頬に手を添えて顔を近づける。

台所でギャーギャーバカ達が騒いでるのが耳障りでムードも糞も無く、名前がふふ、と目を三日月にして笑った。


『デンちゃんたちもうきっと渡したタッパー開けて、唐揚げ食べてるね』
「バカにそのあだ名やめろ」
『うふ、ヤキモチあっくん』
「やめろ」



2020.11.20