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魔法使いの世界にだって、クリスマスはある。

毎年煙の屋敷では盛大にクリスマスパーティーが行われる。

幹部は勿論、部下達も皆集めてファミリー全員がパーティーに毎年参加するようになっていて、料理もそれは盛大に振る舞われている。

何百人といるファミリーのご馳走を振る舞うには、いつもの料理番だけでは手が足りない。そこでクリスマスにはターキーや名前も厨房に入り統括するようになっている(メニューも毎年この2人が案を出しているので煙はキノコ料理を増やしてもらおうと賄賂を渡しているとの噂も……)。



「まーたターキーかよ」
「そんなことを言うな心。毎年クリスマスにはターキーのターキーを食べているだろう」
「それがまた、って言ってんだよ。煙さんは飽きてねーの?」
「勿論だ」
「それにターキーを毎年食べるのは名前がターキーのターキーが好きだからですよ!先輩!」
「クリスマスはターキーを食うに限るよな」



心は名前が大好きである。



「お前達、もう少ししたらデザイナーが来る。パーティー用の衣装を考えておけ」
「ハァ?!またかよ!」
「ブルーナイトと同じヤツじゃ駄目なのか?」
「前と同じ服で出る等、示しが付かないだろう。新しい衣装で出ることは俺達が栄えている証拠だ」
「そんなのどうでもいいだろ!!めんどくせえ!!」
「名前は今年薄水色のドレスにすると言っていたぞ」
「薄水色と黒って合うか?」
「当たり前に似合いますよ先輩!オレも名前と同じ色にしようかな!」



能井も名前のことが大好きである。

煙の方が一枚上手のようだ。



.


.


.


「騙しやがったな煙のヤツ!!!!」
『え?』



クリスマス当日。

名前は薄水色のドレス……
ではなく、いつものオールインワンのつなぎに能井に貰ったフリフリエプロンを付けていた。



「名前、ドレスは……」
『ドレスなんか着て厨房に立ってたら火が移って火事になっちゃうもの。いつものつなぎが一番よ』
「そうか…。」



気のせいだろうか。
心は少し、いやかなり残念そうに見える。



『能井ちゃんは今日はパンツスーツなのね!とてもステキだわ!』
「名前と同じ色のジャケットにしてもらったんだぞ!着ろよ!」
『勿論着るわよ?』
「「えっ」」



心の目に光が戻った。



『私とターキーさんはパーティーが始まる前までの料理を作って準備するんだけど、煙の挨拶の時には正装をして出ないといけないから』
「じゃあつなぎは今だけなのか!」
『そうよ』
「やった!やりましたね、先輩!」
「お、俺は別に気にしてなんかねぇけどな!」
『ふふ』



その後すぐに名前はターキーに呼ばれて『また後でね能井ちゃん、心さん』と言って二人の頬にキスをした後、厨房に戻っていった。



「先輩って名前にキスされた後スゴい幸せそうな顔しますよね!」
「殺すぞ能井」
「はい!すみませんでした!」



パーティー開始5分前。

薄水色のプリンセスラインのドレスを着た名前が心の隣にようやく揃った。



『どうかしら、心さん』
「……似合ってるよ」
『ふふ!ありがとう』



嬉しそうに笑う彼女は本当に凄く綺麗で愛らしくて、心のココロをきゅうっと締め付ける。



『あのね、』



心に比べて下にある名前の顔が背伸びをして心に近づく。体を屈めて耳打ちしようとしている宇井に耳を近づければ、あのね、ともう一度名前は囁いた。



『今年のドレスの色、心さんの目と同じ色にしたかったの』
「……何で?」



照れ隠しのつもりでぶっきらぼうに言い、ちらりと横目で名前を見る。すると彼女はあまりにも幸せそうな笑顔を浮かべて、こう言った。



『大好きな色だから』
「……お前なぁ…、そんなにぶち犯されてぇのか」
『やだ、心さんのえっち』



きゃ、なんて頬に手を添えて心から一歩離れる名前は心底楽しそうだ。心はというと一見なんて事ないといった顔をしているが、頭の中はどピンクに染まっていた。

彼が我慢等出来るわけがなく、名前を連れてパーティーを途中(ほぼ序盤) で抜け出した後、少し離れたトイレを選びそこで名前と情熱的に愛を育んだ。

二人の間にやどりぎは無いが、甘いキスを何度も交わしたようだった。






【 Fell in love on Christmas night 】end.