【簡単な紹介】 心家の双子…金髪に蒼眼。十歳。煙ファミリー周辺では有名な悪童で通っている。 凸(とつ):双子の兄。心のことを「親父」と呼ぶ。子供時代の心に悪魔の血を混ぜたような性格。煙は金づるだと思っている。 凹(おう):双子の妹。容姿は心似だが性格は名前。凸と一緒に悪戯はするが穏やかで理性的。 二井(にい)…心家の三人目。女の子。金髪に紅眼。容姿は一番名前に似ている。名前を求めてどこまでも後を追う執着心は心似。 心…三児の父親。双子に手を焼いている。名前とはラブラブ。金曜日の肉の日は何があっても仕事を早く切り上げる。 名前…三児の母。怪獣みたいな三人に手を焼くがそれでも悪魔に魂捧げても守りたいくらい可愛い。時々煙と能井に子供を預けて心と二人でデートに行く。 ・ ・ ・ 「名前、腹デカいな!」 『ね!私のお腹に二人も赤ちゃんがいるなんて不思議だよねー!』 名前が妊娠したと分かった時、先輩は名前を地下に閉じ込めると言った。 というのも、魔法使いの女が殺されるトップ3の中に妊婦が入っているからだ。 心先輩は名前を守らねばと一番に考えてそれに至ったんだと思う。愛だな! 勿論名前を含め周りの奴らが皆名前を監禁には反対した為先輩はしなかったが、先輩の手が届かなくなるキッチンカーの仕事はすぐに辞めさせた。 更に先輩は名前一人での行動範囲も煙屋敷内のみに制限して、検診とか何か用事があって外に出たい時は必ずファミリーの幹部の誰かと一緒に行動するようにした。(程なくして検診も家に呼べばいいと先輩は気付く。) そんな過保護な先輩の守りもあり、名前の腹はついに臨月まで大きくなった。 小さな名前の身体に見合わないくらい大きく膨らんだそれはまるで大きなバランスボールを入れているようだ。 最近は歩くのにも壁を伝って歩くのがやっとのようだし、寝る時も横を向かないと眠れやしないと言っていた。それでも名前は毎日毎分毎秒大きな腹を愛おしそうな目で見て撫でては『可愛い、可愛い』と言っている。 『名前は心さんが決めるんだって』 「先輩が? そんなのどうでもいいって言いそうなのに!」 『ね!私も初め聞いた時はエッ?って言っちゃった』 そりゃあ先輩も怒っただろうな。 『自分の初めての子どもだから責任持って決めるんだって。』 面白いよね、なんて笑っているが名前は嬉しそうだった。 『本当は能井ちゃんに名前付けて欲しかったの』 「はぁ?何で俺だよ!それこそ先輩に怒られちまう!」 『そんな事ないよ。能井ちゃんは私と心さんの大切な人だもの。この子達と同じくらい、能井ちゃんはずっと可愛い子なんだよ』 おいで、と名前に手を伸ばされそのまま腕の中には居る。 幼い頃は名前に包まれる側だったが、今ではどっちが包んでいるのか分からない。俺の半分程しかない華奢な身体から伸びる腕に背中を撫でてもらうだけで安心した。 『大好きよ、能井ちゃん』 名前の言葉はどんなものよりも俺を癒す魔法だ。 「オレも」 そう抱きしめ返すと名前は嬉しそうに笑う。 と、思ったら、 『あ。大変だ』 「どうした?」 そののんびりした声に買い物し忘れか?と思い身体を離した。 『能井ちゃん、陣痛が来た』 「えっ、あ、はァ!?」 『さっき破水したのよ。忘れてた』 「はすい!?」 『お医者様に連絡してくれる?』 「お、おう!」 『あと心さんにも連絡してね』 「ま、任せろ!!!」 それから66時間後、双子が生まれた。 2021.07.22 |