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「名前ちゃん、今日のガッコどうだった〜?」
『今日はねぇ〜、』


最近デンジくんは学校や授業、友達についてよく興味を持っている。今までも私は学校に行っていたのに、ボムの襲撃を境によく聞いてくるようになった。


『授業いっぱい受けたよぉ』
「どんなことすんの〜?」
『英語とか歴史とか古典とか』
「コテンって何?」
『うーんと、日本の昔の着物着てた人達のこととか使ってた言葉を勉強するの』
「へえー それ何か役に立つ?」
『んー、立たない』
「なら俺はいーや」
『あとプールしたよ』


ぴくりとデンジくんが反応した。


「へ、へぇ…」
『泳ぎのタイムを測ったんだよ。デンジくんは泳げる?』
「う、うん〜 泳げる〜」


学校、プール…
何なんだろう。どうしてこんなに気まずさを出すんだろう。


『デンジくん、名前に隠し事してる…?』
「!!!」


弾かれるように目を丸くして私を見た。
なんて分かりやすい人なんだろう。そんなところも可愛いんだけど。


「い、いや、その、」
『名前の学校に来たりした?』
「いや、違う、と思う。たぶん…」
『たぶんて…、』
「ごめん名前ちゃん。この話は、出来ねぇ…」
『…デンジくん、名前のこと嫌い…?』
「スキィ!!大好きィ!!」
『じゃあ話してよぉ』
「話します!!いや!!話せねぇ!!」
『もぉ!どっちぃ〜!?
あ!もしかして花火大会の日、誘わなかったから怒ってる!?』
「へ?あ、花火……」
『名前あの日はお仕事あったんだも〜ん!来年は絶対一緒に行こうね!』
「来年……」


また、デンジくんがぼんやりした。


「……また見れっかな、花火」


ぽつりと呟いたデンジくんはいつものバカ元気な可愛いデンジくんとも違う。どこか少し寂しそうな、ちょっと大人なデンジくん。

未来なんて、分からない。


『絶対見よう。それまでは絶対死なないようにしなきゃ。死んだら何もかも、

終わっちゃう。』

「…うん」


私達は毎日生死を掛けて戦う。
少しでも先の未来に何か希望を見つけないと、目標無しでは無駄死に繋がっちゃう。

たぶんだけど、デンジくんは私がお仕事に出ていたあの花火大会の日、何かあったんだと思う。

きっとそれは“ 誰か ”。

私には言えないってことは、女の子かな。やだなぁ。デンジくんがほかの女の子にデレデレしてるところ、見たくないなぁ。



『…“私に言えないこと”はこれからも続く…?』
「……いや」


デンジくんは遠くを見る。


「もう終わっちゃった。」


ニッと歯を見せて私に笑いかけるデンジくんは、笑ってるけどどこか寂しそうだった。


『大切な思い出として、忘れないようにしないとね』
「…うん」
『デンジくん今日終わりでしょ?
美味しいたこ焼き屋さんが駅前に出来たらしいから行こうよ』
「うん」


引っ張るように繋いだ手は、微かに震えている。いつもの元気が出てないデンジくんなんてかわいそう。


『デンジくんに魔法かけてあげる!
デンジくんがぁ、元気になりますよぉ〜に!キラキラリ〜ン!』
「な、治ったぁ〜〜!
名前ちゃんすげぇ〜!魔法使いじゃん〜!!カワイイ魔法使い!!」
『うふ〜!元気になって良かった!
ほら、たこ焼き食べに行こ?』
「行くぅ〜〜!」


飛び跳ねるように今度は私を引っ張っていくデンジくん。そうそう。こっちの方が私も好き!

繋いだ掌はもう、震えてない。




2020.09.28