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レゼとのことは名前ちゃんには話してない。

これはいわゆる“浮気”になるのかもしれない。今更ながら名前ちゃんに言うべきか。このまま名前ちゃんには言わず、今まで通りにラブラブの俺らでいていいのか。

公安の待機所にあるテレビではワイドショーが流れている。どこかの芸能人の男が浮気をしたらしい。テレビに映るアナウンサーや解説のヤツらは浮気した男に対してボロくそ言ってる。



“ 浮気だなんてサイテー ”


前に姫野センパイが口を尖らせて言っていたのを思い出した。

パワ子は「わしは50回浮気したがの!」とかふんぞり返ってるが、もう無視だ。


…やっぱりサイテーだよなぁ。



『戻りました。あー 疲れた』
「あ、名字。」
「!!」
「良かったのぉデンジ!愛しの名前じゃ!」
「あ、あぁ…」


正直今は会いたくない。

名前ちゃんの顔を見たらボロが出そうだ。俺は名前ちゃんから見えないように机の影に隠れた。


『あれ。早川さんがテレビとか見てるの珍しくないですか。しかもワイドショー』
「俺だってテレビは見る」
『へえ』
「名字はどう思う」
『何がですか』
「浮気について」



耳がぴくりと動いた。
俺が今1番気になること!!さすが早パイだ!!



『浮気する男なんてヒトじゃないでしょ。浮気したと分かった瞬間、ゴミと見なして潰します』
「え、何を?」
『玉』


ヒュッと喉が鳴った。潰される!!!俺の玉が!!!潰される!!!


「……だってよ、デンジ」


やめろ早パイ!!!今は俺のことはほっとけ!!


『えっ デンジくんいるんですか』


名前ちゃんの声が高くなる。


「名前!!デンジはここじゃ!!」
「だ、黙れパワ子!」


そんな俺の忠告も虚しく、早足でパワーの元に来て指を指す(俺)へ向かってきた。


「よ、よォ、名前ちゃん」
『デンジく〜ん!何で隠れてるの〜?!』


目線を合わせるようにしゃがんでキュルンとした瞳で俺を見る。

かわいい!


「カワイイ!!」
『デンジくん、名前に見つけてほしかったの〜〜?』


名前ちゃんはこてん、と首を傾げる。その時にポニーテールが揺れた。

可愛い。仕草全部が可愛い。




「ん〜〜…そう!見つけてほしかったの〜〜」




俺も名前ちゃんの真似をして同じ方に首を傾げると名前ちゃんは嬉しそうに目を弓なりにした。可愛い。


『うふ〜!
デンジくん、みぃつけた〜っ!』


カワイイ!!可愛い!!かわいい!!!


「見つかった〜〜〜〜!!!」
『あは〜〜!』


無理だ!絶対言わねぇ!こんな可愛い名前ちゃんが悲しがる顔は見たくねぇ!!


「寒……」
「わしはマイナス1000度でも寒くない!!」



2020.09.26