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「デンジくんって何でそんなにモテたいの」





昼休み。

最近よく絡んでくる男、吉田は俺をじっと見た。

男に見られても嬉しくねえ。





「何でって……、女にモテて“ スキ!キスして!ちんこ入れて! ”ってなるのが最高じゃねーわけないじゃん」
「そっか」






なんだよそっか、って。

興味ねぇなら聞くなよ。






「好きな人とかいたことないの?」
「はぁ?スキナヒトって、」





スキナヒト

スキな人

好きな人……




ようやく頭で理解した頃には、
脳みそは“ あの子 ”のことでいっぱいだった。


忘れたわけじゃない。忘れるわけがない。


俺が初めて人を大切に思って、
俺に初めて《スキ》の気持ちをくれた人…


なぁ名前ちゃん、
今どこにいんの?





「デンジくん?」
「……ア? ンだよ」
「急に黙ったから…回想シーン入ったかと思ったよ」
「何だそれ」





何だ海藻シーンって。
意味わかんねえこと言うな。


名前ちゃんが死んだと岸辺は平気で何度も言うが


俺は違うと信じてる。


でも俺がしょんぼりしててもあの子が喜ぶはずないから元気な俺のフリをしておくんだ。


“ チェンソーマンってバレたい ”って言うのも、言い続けてたらいつかあの子のいる所までニュースで広まって、俺のいる場所が分かって、会いにきてくれるだろう。


それにあの子はヤキモチ妬きだ。



俺が“ 女にモテたい ”って言い続ければ、





『もう!デンジくんは名前のことがスキって言ったのに!』





って現れるかもしれない。



激つよスーパーかわいいハンターの名前ちゃんだから、俺に群がる女達を全員殺すかもしれないけど



名前ちゃんにまた会えるなら、それでいいんだぁ。






だから俺は今日もここにはいないあの子に聞こえる言う。





「あー、“ 女にモテてぇ ”」






end.

(今のデンジくんの話でした。また書けて嬉しいです。デンジくんはどこまでも健気で童貞なので可愛いです。)