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「名前ー!!来てくれーー!!」


それはナースのお姉さんたちと包帯やら脱脂綿の用意をお手伝いしていた時のこと。
大きな水落の音が聞こえたから誰か海に落ちたのかな?と思った。ナースのお姉さんたちからも


「名前ちゃん呼ばれるんじゃない?」
「人魚姫の出番が来るわね」


と話していたら案の定名前を呼ばれた。


『ホントだったね』


なんて笑って、それから甲板に出ると、戦闘の後のようにみんなが出てきていた。私の姿を見つけた数人が


「あ!名前!」
「ビスタ隊長!名前が来ました!」


とビスタを呼んだ。ビスタは人混みの一番先頭にいる。人混みをかき分け、ビスタの隣にまで行く。

海にはスペードマークの海賊旗。そして…


「おお!名前!悪いな。俺は海に落ちた数人を助ける。お前は能力者を頼む。若い黒髪の青年だ」
『黒髪ね!黒髪…、ビスタ?黒髪なんかいないよ?』
「沈んでいったからな」
『早く言ってよ〜!!』
「ハハハ!頼んだぞ!」


急いで海に飛び込む。二本の足は尾びれになり、私は人魚へと姿が変わる。

黒髪の男の子はどこだろう。
辺りは船の壊れた木片、木片、木片…



いた!!黒髪の男の子!!




意識を失っていて、クラゲみたいに海中に漂ってる。私クラゲ大好きなの。
なんて考えてる場合じゃないね。

男の子の手首を掴む。うん。脈はある。生きてるね。両脇に手を入れて海面へと泳いでいく。海面から顔を出す。男の子も顔を出した途端、


「ぶはっ!」


と水を吐き出した。


「名前!よくやった!ハシゴのぼってこいよい!そいつの意識はあるかい!?」
『はーい! ねぇそばかすくん!大丈夫?』
「誰だ…てめェ…」
『マルコー!意識あるよー!』
「よーし!なら問題無ェー!上がってこい!」


ハシゴから下りてくる仲間にそばかすくんを渡し、私は再び海へ。甲板にいたみんなはそばかすくんや奥から出てきたパパの元に集まってる。さあ、私は探さなきゃ。


「名前、上がんねェのかい?」
『うーんまだ見つけてないの!イゾウ、上から何か見えない?』
「? 何をだ?」
『あたしの服!』
「ねぇぞ、……おい名前!後ろ見ろ!」
『え?…あ!』


私のパンツ!





2020.09.08