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「お、オヤジーー!!!大変だ!!」
「何だ うるせェ」
「人魚だ!!人魚が釣れた!!!」
「…人魚か…」



***



『はなちて〜!!』
「可愛いなァ!」
「おれ、人魚なんて初めて見たよ」
「人魚ってもっと色っぽいかと思ってたぜ」



「そいつァ…まだ子どもだ」



「あ!!!オヤジ!!!」

「…何で子どもを網に入れたままなんだ。外して水に入れてやれ」
「「お、おお!!」」
「悪かったなァ…悪ィ奴らじゃねェんだ。許してやってくれ」
『…おじちゃん、だあれ?』
「グラララララララ!
おれの名はエドワード・ニューゲート。世間じゃ“白ひげ”なんざ呼ばれてる」
『しろいおひげだから?』
「そうだなァ」
『おじちゃんも、わたしをうるの?』
「…お前ェ…、」
「オヤジ!!デカいたらいがあったぜ!持ってきた!!」
「おォ。
ほら、たらいに入れてやるから手のひらに乗れェ」
『あいがとう!』
「……どうだ」
『っぱあぁ〜〜〜!いちかえる〜〜!』
「そいつァ良かった
…ところでお前ェ名前は何てェんだ」
『名前!』
「グラララララララ!!
立派な名前じゃねェか! お前ェここらへんに住んでンのか」
『ううん。こわいおじちゃんの船からにげてきたの』
「そうか…」
『シャボンだまがいっぱいあるキレイなしまにちゅれていってくれるっていってたの。
でもおじちゃんたち、名前をてんりゅうびとにうるってきいたの。』
「「「!!!」」」
『名前、シャボンだまのところにいけないからにげたの。
てんりゅうびとってだあれ?てんりゅうびとのところにいったら、名前おいしいごはんいっぱいたべれる?

おじちゃん、わかる?』
「…お前はまだ知らなくていい。
家はどこだ。俺の船で送ってやる」
『名前のおうち、ちらないの。あかちゃんのころからいろんなひとのおふねにのってたから』
「……名前、俺の娘になって船に乗るかァ?」
「「!!」」
『おじちゃんもわたちのことうるの?』
「お前ェなんぞ売らなくても財宝はたんまりあるから売らねェよ」
『!!ホント?』


こうして人魚の子どもは白ひげの子どもとなった。



2020.09.08