伊武深司
2023/04/04 03:24

 高校生の彼女は伊武よりずっと落ち着いてて、大人で、そんなところに憧れていたけどやっぱりちょっと悔しい。ドギマギさせられるのも、デートを引っ張ってくれるのも、たくさん話しかけてくれるのもいつも彼女で、微かにコンプレックスがある。
 今日も些細なことで拗ねて「ほら、また子供扱い…嫌になるよなあ、ちょっと年上だからってすぐ人を下に見てさ…俺のことなんかガキだとでも思ってるんだろうなあ…」ぶつぶつ、ぶつぶつ。
 最初は受け流していた彼女もうんざりして「もお〜うるさい!」いつも宥めてくれるのに初めて強い口調で言われてショックを受ける伊武。
「うるさいてなんだよ…所詮あんたも俺の事ウザイって思うんだ…へえ…まあ俺が悪いんだけどさ…でもそんなストレートに言うこともないんじゃないの、元はと言えばあんたが俺のことガキ扱いするのがきっかけなんだし…俺の気持ちも少しは考えてくれてもいいんじゃない…なんてこんなのもガキの戯言なんだろうな、まったく嫌になるよなあ…って、え、」「黙って」
 目の前が暗くなって、言葉が紡げなくなった。唇に柔らかいものが当たっている。「な、なに、今…」
 耳まで赤くしてフリーズする伊武に、彼女は悪戯が成功したようにへへっと笑って、「ね?子ども扱いなんてしてないでしょ?」


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