ただ自分であるために
01

*

「改めましてみなさん。このたび一時的に船に乗せていただくことになりました、ロザリーと申します」

 陽に当たると新緑のように見える黄緑がかった金髪をふさふさと揺らし、ロザリーはちょこんと頭を下げた。ニコニコと人が良さそうな、のんきそうな微笑みを浮かべ、熟れた桃のような瞳をしている。少し太めの眉毛が山を描いていて、ふわふわとした雰囲気の女性だった。

 麦わらの一味、総勢6名と2匹は一部を除いておおむね好意的に彼女を受け入れた。ルフィは不満そうに唇を尖らせる。
「オイ、一時的にってなんだよ。おれは仲間になれって言っただろ」
「あら…。優しいのね、ルフィ。そう言ってもらえて嬉しいわ。でも…」
 ロザリーは瞳を伏せて眉を下げる。そうすると花の散り際のような独特の寂しさと儚さが際立った。メガネがないと、真ん中で分け、かきあげているウェーブした前髪からはっきりと表情が見える。
「わたし、あまり戦闘経験もないし…強くもないの。あなたは海賊王を目指しているんでしょう? 足を引っ張ってしまうわ」
「そんなの気にすん……」
「──でも」ロザリーが頬を染めてニッコリ笑った。
「実は旅は長くしていたし、海賊船に乗っていた経験もあるから、雑用をこなすのは得意よ。あとは、そうね……草花や、野菜を育てることも。ある程度なら天候も読めるし……だから、役に立てるように頑張るわね」

 ナミとビビは彼女に船の中を案内して回っていた。
「ここが女子部屋よ。でもベッドがひとつしかなくて…どうしようかしら」
「そうなの? それならわたしはハンモックを吊るしてもいいかしら」
「あら、ハンモックで寝てるの?」
「旅をしていた時にね」

 部屋の隅っこに、するすると釣り上げて、薄緑のちいさなハンモックが揺れる。淡い色合いだからか、なんだか部屋に爽やかに溶け込んでいる。
「素敵じゃない!」
「ふふ」
「緊急出入口は一応男子部屋と繋がっているけど、普段は締め切ってるわ。大きな声は隣に聞こえてしまうけど、賑やかで楽しいのよ」
「うるさいって言うのよあれは! あいつら夜中もギャーギャーと…」
「元気が良くて可愛いのね」
「かわ…」
 まるでリュカに対する風にそんなことを言うものだからナミは少し絶句してしまった。リュカと違い、あいつらは大柄でむさ苦しい男どもだ。可愛くないったらありゃしない。

 それから、ラウンジ、倉庫にバスルーム。洗濯物はデッキで干して、下着は部屋で。毎日交代で当番が回る。
「洗濯はわたしが毎日するわ」
「ええ?」
「嫌じゃなかったらやらせて。雑用くらいしか出来ることがないんだもの」
「そんな、別にいいのよ、雑用はみんなで…」
「ありがとう。優しいのね。でもわたしも役に立ちたいの」
 ナミとビビは顔を見合せた。やりたいならやらせた方がいいんだろうか。
 彼女が気を使っているのは分かるが、本心からやりたそうな表情をしているから、少し判断に迷う。非戦闘員が海賊船に乗る不安な気持ちも分かるだけに、断りづらかった。
「ええと、じゃあ…ロザリーが負担じゃないなら…」
「本当? ありがとう!」
 嬉しそうに笑うものだから、ナミは困って眉を下げた。

 ロザリーは機嫌が良さそうに、船を撫でながら歩んだ。
「傷がたくさんある船ね」
「そうなのよね。戦闘がある度に色々壊れちゃって」
「ウソップさんが直してるのよ。故郷の人からいただいた船なんですって」
「ああ、それで……」
 ツギハギの部分を撫でながら、ロザリーが呟く。
「すごく大事にされている船だわ。名前は?」
「ゴーイングメリー号よ。メリーって呼んでるの」
「そう、メリー。素敵な名前」

 ラウンジの上にあるみかん畑を見ると、ロザリーは目を輝かせて木に駆け寄った。
「みかんの木があるのね!」
 止める間もなく手を伸ばしたロザリーに、制止しようとして、まぁいいかと思い直した。大事な大事な木だけど、みかんひとつくらいなら分けても…。
 そう思ったが、ロザリーは実をもがなかった。
 幹に手を当てて、目を閉じている。
「何してるの?」
「この木……本当に愛されてるのね。潮風を浴びて、潤っていて、すくすく育ってる。深い愛情を感じるわ。みんなでお世話を?」
「あ…うん、そうね…」
 なぜか少しだけ照れくさくなった。
「…ナミが世話を?」
「えーと、そうね。故郷から持ってきた木なの」
「そう。大切に育てているのね。素敵だわ」
 しゃがんで、土もサラサラと確かめた。白レースの手袋をしているのに汚れてしまうと言ったが、ロザリーは気にしていない。
「土にも栄養たっぷり…。ふふ、あなたったら病気や虫にも悩まされたことの無い、純粋培養のお嬢様なのね? 故郷でも大事にされていたのがわかるわ。素敵なご主人に出会えて幸せね…」
「そんなことまで分かるの?」
「ええ」
「もしかして、もし木が悪くなったら治せる?」
「わたしは専門家じゃないから…」
 彼女は少し眉を下げて申し訳ない顔をした。
「でも、少しでも異常があったらすぐに分かるわ。どこが悪いかも分かる。病気を治すことはできないけど、木の治癒能力を引き出す手伝いをすることも」
 ナミは顔を明るくさせた。植物は専門分野じゃないし、船の上で枯れでもしたら、相当落ち込んでしまう。
「よかった! ねえ、良かったらこれからみかんの木のお世話を手伝ってくれない? 私じゃ悪くなってもきっとすぐに気付けないわ」
「もちろん! うれしい、わたしに活かせることがあって。でもこの木は大丈夫よ。きっととても甘くて、深みのある実が鳴るわ」
 ロザリーは優しくみかんの木を撫ぜた。

*

「サンジ」
 明け方の霞んだ薄桃の空のような声が鼓膜を震わせた。夕食の支度をしていたサンジは手を止め、「どうしたんだい、ロザリーちゃん♥」と振り返って鼻の下を伸ばす。
 むさ苦しい船の中に花がまた増えてサンジはハッピーだった。空高くまで舞い上がっていけそうだ。

「ごちそうさま。とても美味しかったわ。お料理が上手なのね」
「喜んでもらえて嬉しいよ。気に入ってもらえたかい?」
「とっても」
 フラッシュみたいにまばたく笑顔に撃ち抜かれ、タバコの煙をハート型にするサンジ。
「ロザリーちゃんからもらったフルーツがジューシーで美味いおかげさ♥ おかわりはいかがですか、マドモアゼル?」
「ふふ、いただきたいけれど…もうひとつ食べてしまったら、サンジの美味しいディナーが入らなくなっちゃう」
「ああ〜♥ じゃ、夕食は腕によりをかけて作るぜ♥」

 言葉尻が全部ハートのサンジにロザリーはくすくす花型の吐息を漏らした。男性に言い寄られるのは慣れているが、こうも簡単な男の人はなかなか見ない。
「何かお手伝い出来ることはある? 食器洗いとか、換気扇のお掃除とか…そういうの、わたし得意なのよ」
「いやいや、まさかロザリーちゃんを働かせるなんて!」
 ギョッとして彼は勢いよく首を振った。まさに青天のヘキレキといった感じだ。
「キッチンにあまり他の人の手が入るのはお嫌?」
「そうじゃねェさ。ただ、レディにはゆっくり休んでもらって、おれの作る食事で幸せになってもらいてェのさ。おれにきみの憩いの空間を作る栄誉をいただけるかい?」
「まぁ……。紳士的なのね。分かったわ」
「下心があるだけだよ。きみの笑顔が見たくて」
 サンジは甘ったるいジャムみたいなことをペラペラ言うのに、そのどれもが真摯で、下心というわりに言葉の中にどろどろした欲望が渦巻いていない。
 コックというのは職人だ。自分の仕事にプライドを持っている人が多いし、キッチンにもこだわりがある。それを乱されないよう、優しくオブラートに拒絶されているんだろう。だけれど、それで傷つけないよう、優しく甘くコーティングしてくれている。
 ロザリーは役に立つことで麦わらの一味に馴染みたかったが、サンジの聖域に踏み込むのは辞めておいた。そういう意味での「分かった」だ。

「この後は何するんだ?」
「そうね…ルフィさん達の釣りでもお手伝いしようかしら」
「それじゃ、後でサングリアを持っていくよ。好きなフルーツは?」
「あなたの作るものなら、なんでも」
 おっとりしているロザリーだったが、普通のなんて事のない口調でそう答えると、去り際にちいさくウインクをした。男を振り回し、弄ぶことに慣れている仕草だ。
「意外と小悪魔なロザリーちゃんもサイコーだ〜〜〜♥」
 ひとりになったキッチンで、見えなくなった背中を見つめながらサンジは溶けた。

 さて、おおまかに船は見て回った。すぐに馴染めるとは思っていない。
 最初に感じた通り、気のいい人達ばかりの海賊だった。けれど、平和ボケしすぎているという訳でもない。特に、ゾロという剣士は我関せずという態度を取りながらも、遠くから観察するようにロザリーを眺めている。
 そういう視線に晒されるのは慣れていた。
 時間をかけて、親しくなるか、信用を勝ち取るか、懐に潜るか、興味を失ってもらうしかない。

「おっ、ロザリー!」
 甲板で釣りをしていたルフィたちに近寄ると、気付いた彼が片腕を上げた。彼は人懐こくて話しやすい。
「ルフィ、ウソップ魚は釣れた?」
「いんや、全然だ」
「まずエサがねェんだ。コイツが食ったから」
「……魚のエサを?」
「しょーがねェだろ、腹減ってたんだから! 大体お前だって食ったじゃねェか」
「ほんのちょっとだけだ! 舐めるくらいチビっとしか食えてねェよ!」
「そんなに追い詰められていたのね。リアン島が近くて良かった」
「おー、ほんとに助かったぜ」

 3人が談笑しているのを、マストの影からチョッパーが見つめている。視線に気づいていたので、ふっと顔を上げて目を合わせた。微笑んでみせると、少し緊張しながらもとてとてと寄ってくる。
 チョッパーは喋るトナカイで、ちいさくて、元気で、少年らしさがあってとても可愛い。しかも医者だというから、とても頭もいいのだ。
 この船の人はみんな、何かしら自分の得意分野を役割としている。ロザリーには何もない。だから少し焦る。

「おれも釣り…手伝うよ」
「おう。でも今日も坊主だろうなァ」
「天気はいいのになー」
 ルフィの隣に座っていたロザリーは少し席をあけて、「ここへどうぞ」と手招きした。
「……」
「?」
 ちょっと固まっていたチョッパーは、戸惑ってロザリーを見つめ、そして意を決したようにたずねる。
「お前、おれが怖くないのか?」
「こわい?」
「だっておれ、喋るトナカイだぞ!? アオッパナだし、二足歩行のバケ…」
「チョッパーはすごく可愛いわ。ぬいぐるみみたい」
「かッ…」
 彼は目を丸くし、目尻をニョロニョロさせた。
「可愛いなんて言われても嬉しいわけないだろこんにゃろ〜!! こんっ、こんにゃろ! こんにゃろ!」

 赤くなってダンスするみたいに照れる彼に、ロザリーは(なるほど嬉しいのか…)とほろほろ笑った。かわいそうなほど、チョロくて可愛い子である。こんなにチョロいと心配になってしまうくらいだ。

「そっ、それに!」
 気を取り直すようにキリリッとした顔を作るので、ロザリーもウンウン、と母のような顔で耳を傾ける。
「最初はみんな驚くのに、お前は驚いてなかったし……何にも聞かないから」
「たずねるのは不躾かしらと思ったのよ。チョッパーは不思議だけど、悪魔の実を食べたのかしらって。海は不思議なことばかりだから、喋るトナカイもいるわよね」
「悪魔の実って知ってたのか!?」
 ガビーン、とチョッパーは口をあけた。
「スゲーッ」
「おめェ超能力者か!?」
「ちが……」
「能力者なのか!? 超能力って何の実を食ったんだ!?」
「おお…」
 まさかのルフィとウソップもワクワクし始め、その勢いに呆気に取られてロザリーは素が出た。話を聞かないな……。
 ちょっと分かり始めていたが、船長だけでなく、船員たちもみんなちょっとおバカなのかもしれない。
 ゾロやナミの警戒心が強いわけだ。
 ロザリーは心の中でひっそり同情と応援をして、苦笑いで3人をなだめる。
「偉大なる航路(グランドライン)は常識の通じない海だから…おかしなことも自然と受け入れるようになったの。これでも旅は長くしていたのよ」
「そういやひとり旅をしてたんだったか」
「故郷に帰りたいんだろ? どの辺なんだ?」

 デッキで昼寝をしていたゾロには、風に乗った声が届いていた。片目をうっすらと開ける。
「ルフィは海賊王になりたいのよね? やっぱりひとつなぎの大秘宝(ワンピース)を目指しているの?」
「あァ!」
「じゃ、きっとその途中にあるわ。わたし…新世界へ行きたいの」
「新世界?」
「…偉大なる航路の後半の海のことよ」
 それも知らないのかと、やや驚いた。だが、彼らはルーキーだから仕方ないのかもしれない。この先どれほど名を挙げていくかは知らないが、今はまだ、船長のルフィの首にたった3000万ベリーが懸けられているだけである。

「後半かー! お前ずいぶん遠くから来たんだなー」
「なんでこっちに?」
「…色々旅をしていてね」

 彼女はスッと立ち上がり、髪を抑えた。背中でリボンが揺れる薄桃色のワンピースが風ではためく。

「そういえば、行く場所があるって言ってたわよね。どこに向かってるの?」
「ああ、言ってなかったか? おれ達は今アラバスタに向かってんだ!」
 ロザリーの優しげな眉毛がギュッと寄った。
「……アラバスタ?」

*

 不信気な表情は一瞬で消え去った。彼女は一瞬口をモゴッ…とさせたが、ぱちりとまばたきし、綺麗な笑みを浮かべた。
「そう」
 端的に微笑み、船の中に戻っていく。

 ルフィたちは「?」を浮かべた。
 今のは何か言いたげだったし、なんだか嫌そうな反応だった。鈍いルフィは気付かなかったが、ウソップにはそれが嫌悪感に見えて、「追いかけた方がいいんじゃねェか?」と釣り道具を置いた。
「待てよウソップ、おれも行く」
「あっおれも!」

 ロザリーはラウンジのソファでくつろごうとしているところで、ビビとナミもそれぞれ好きなことをしている。サンジも「サングリアを持ってきたよ♥」とトレーを片手にそれぞれの前にグラスを置いた。
 ツヤツヤの苺をカットして飾りつけてある、美しく美味しそうなドリンクだ。
「ストロベリーハニーサングリアだ。ノンアルコールにしてある。どうぞ、レディ」
「ありがとう」
「これもロザリーからもらったもの? 色んな季節の果物があるのねぇ」
「リアン島は春島で気候が安定しているから年中収穫できるのよ。谷の方は雪が降るほどじゃないけど寒くなってるから、寒冷地方の食物も採れるの」
「実りの島とも呼ばれているのよね。近隣の国と交流も盛んで、交易も栄えているし…だから海軍が多いんだけど…」
「あぁ…」
 ナミはゲンナリした声を出した。ルフィが「ズリィぞお前ら!」と指さしたが、サンジは一蹴して相手にしない。
「おかわりもいつでも言ってくれよ♥」
「ええ」
 慣れたナミにもはや顔も見ず素っ気なくあしらわれても、サンジはご機嫌だ。彼は紳士的で優しいが、女性なら誰にでもメロメロになるタイプなのか、とロザリーは脳内でインプットする。

「なんだよー、おれだって食いてェのに」
「いまさらだろ。つーかロザリーに話聞きに来たんじゃねェのか?」
「わたし?」
「ハッ、そうだった」
 彼女はコテリと首を傾けた。下ろしたウェーブヘアに、ちいさな花がいくつも飾ってある。

「さっきお前、アラバスタ行きたくなさそうだっただろ? 進路は変えねェけど、むりやり連れていくのもなんか嫌だ」
「まぁ、そんなことないわ、気にしないで」
 それを聞いてビビはドキッと背中が突っ張った。
「いいから言えよ。おれ達仲間だろ」
「そうだぞ! ガマンはストレスになるから身体にも悪い。海の家はリフレッシュも限られる。言いたいことは言った方がいいと思うぞ」
「ほら、船医もこう言ってることだし」

 キッチンで作業しているサンジも、耳をそばだてた。
 ロザリーは本当に本当に困った…という表情で、髪を手のひらで数度梳いた。1年以上もぬるま湯にひたり、安全地帯で可愛い男の子と過ごしていたせいで、気が緩んでいたらしい。
 責めるような視線ではないのがまだ救いだ。言葉を選んで彼女はそっと言った。
「もちろん、船の航路に口を出すつもりではないのよ? ただ…懸念事項があって…」
「うん」
「アラバスタは今内紛状態で国が荒れているの。滞在先にはあまりオススメしないわ…。国民たちは気が立っているし、そういう国は海賊の格好のエサで…ええと、あなた達がどういうつもりでアラバスタへ向かうのかは分からないけれど……七武海のクロコダイルがアラバスタをナワバリにしていて、今あの国にはなんの美味みもないわ。ただ危険なだけ」
「なんだ、そんなことか。そりゃ知ってる」
「あら、知ってたの? ごめんなさい、てっきり…差出口だったわね」
「サシデグチ?」
「…余計な口出しだったわね」

 ロザリーは苦笑した。本当に余計なことだった。乗ったばかりの船にあれこれと…他の海賊船だったら不興を買ってもおかしくなかった。
 気が緩んでいる。
 知っていて行くなら、たとえそれが略奪だろうとロザリーは口を出すべきでははい。

「詳しいのね…」
「新聞はよく読んでるから」
 ビビがなにか恐れたような、不安そうな目をしているのは分かったが、理由は分からない。

「ちなみに略奪じゃねェからな!?」
 ウソップがハッとして言った。
「あ、そうなの…」
 丸っこい声で答える。そうなのか…まあたしかに、この人たちはフローリェンでも誰も襲わなかったし…。
「当たりめェだ! おれ達は略奪はしねェって言ってるじゃんか!」
「そうね。じゃなんで…いえ、なんでもないわ」
「だから言えよ! お前〜〜!」
 ルフィは言葉にできないモヤモヤがカーッと胸にのぼってきた。ウガーッと頭をかく。ルフィにはロザリーがなんだか同じ船に乗っているのに、同じ船に乗っていない感じがした。
 ナミがルフィの肩をトンと叩き、目だけでうなずく。
「言っていいし、聞いていいのよ。まだ数日だから慣れないのは当然かもしれないけど、こいつらなんかガンガン自己主張していかないと、こっちが振り回されるばっかりなんだから」
 ウソップたちは内心(お前が言うな!)と爆音で叫んだがナミのひと睨みで押し黙る。

 年下の女の子に諭され、ロザリーは情けなくなった。
 自分が分かりやすくなったのか、この子達が鋭いのか。ただ、普段の騒がしい彼らに、思った以上に大人びた面があることはわかった。
 もっと上手く馴染まないと。
 花のような綺麗な笑みを貼り付ける。
「ええ…。ありがとう。それじゃ聞いてもいいかしら? なぜあえて、危険なアラバスタを目指すのか」

「革命を止めるんだ!」

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