夕方、マザーに洗濯物を畳むよう頼まれたので、それぞれの分に分け畳み、リビングの端の方に寄せ、置いておく。
と、不意に電話のコール音が響き、急いで子機を取り耳に当てた。

『もしもし、黒木です』

「こんばんは。忍足君の担任の及川ですが…忍足君いらっしゃいますか?」

『はい、お待ちください』

学校から電話が来るなんて珍しい…と思いつつ保留ボタンを押し、けにゃの部屋に向かおうとする…が、どうせけにゃの部屋に行くなら洗濯物持ってってあげよう。と床に置いてあるけにゃの分の洗濯物を持ち、階段を上がりけにゃの部屋のドアをノックした。



「はーい」

『おじゃましまーす。けにゃ電話だよー及川先生から。ついでに洗濯物』

「!おおきにーっ!!」


子機を受け取ると廊下へと急いで出ていくけにゃ。
私も洗濯物をベッドの上に置き退室しようとした。
が、そのとき、



ミシッ




『!?』


足に突如かかる体重。

ハッと下を向けばそこにいたのは…



『スピーディーちゃん…?』


そう、けにゃの飼ってるイグアナのスピーディーちゃんが私の足の上にのし掛かっているのだ。
驚いたものの、実はスピーディーちゃんを直接見るのは初めてで。
ちゃんと顔を見てみたい…と持ち上げようと思ったが、無理にだっこするわけにもいかないし、押し退けることもできないので、スピーディーちゃんを足に乗せたまま直立していると電話を終えたけにゃが帰ってきた。


「いやー進路希望調査書くんすっかり忘れとったわ…はよ書かな…って、何しとるん蓮?」

『君の相棒に押さえつけられて動けんのです』

「え?…あぁ、なんやスピーディーちゃんこんなとこおったんやな。…っと。ハハッ、蓮いじめたらアカンでー?」


スピーディーちゃんを抱き抱え、まるで母親のように話しかけているけにゃ。
こっそり回り込みスピーディーちゃんの顔を正面から見てみる。…と、思っていた以上に自分の想像していたイグアナそのものだった。

あんなにけにゃが可愛がっているわけだから特別可愛い顔でもしているのかと思ったが…ごく普通のイグアナ。

要は、失礼ながら私からすれば可愛い要素が見当たらないのだ。


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