チラッと時計を見る。
やべぇ後一分じゃん!!

そうです、私あと一分で誕生日を迎えるのです。
何かやたらドキドキするよね誕生日前って…

とりあえず誕生日になった瞬間自分で祝いますか、と椅子から立ち上がったとき、部屋のドアが開いた。
どうやら三人が部屋にやってきたようで。

こんな夜中にどうしたんだろう、と聞こうとした瞬間、衝撃と共に辺りが真っ白になって何も見えなくなった。


え、何これ敵襲?


三人の笑い声だけが聞こえる中、ようやくパイ投げされたということを理解する。

そっと目を開ければ、腹を抱え笑っている三人が。


『これは敵襲と見なしていいのかな後五秒で残ったパイ投げ返すよ』

「ハハッ…すまんすまん」

目に涙を浮かべるほど笑いながら蔵が近づいてくる。
と、思えば、唇に柔らかい感触が。


…はい?


目をぱちくりさせ蔵を見れば自分の唇についたクリームを舐めている。


ちょっと待て、今私何された?


「誕生日おめでとう、蓮」

『へっ…?』


たいそう満足そうに微笑む蔵の言動の意図が掴めなくて混乱していると、今度は光が近づいてくる。
と、また唇に柔らかい感触。
同時に、舌がペロッと私の唇を舐める。

「…甘くないっすね」

『ひ、光くーん?』

「誕生日おめでとうございます。なかなかえぇ顔拝めましたわ」

「やるなぁ財前」

「部長には負けますわ」

『ちょ、ねぇお二人さんどーいうことこれねぇ』

勝手に会話進めないでほしい。
こっちは何一つ状況把握できていないのだから。


近くのタオルで顔をざっと拭き、再び二人に問い詰めようとしたらけにゃが両肩をガシッと掴んでくる。

あれ、なんか嫌な予感。


「蓮っ」

『は、はい』

「たっ…た、誕生日…おめでとうっ!!!!!」


ものすごい勢いで唇に瞬間何か触れたかと思えば、目の前には顔が真っ赤なけにゃが。
それを見て私も顔が一気に赤くなる。
やっとのこと状況が理解できたからだ。

『とりあえず一言。なんで?』

「日頃の感謝の気持ちをわかりやすく行動に表してみたんやけど」
『おっまっ…!!!』

「後その顔拝みたかったからな。な、財前」

「っすわ」

『心臓もたないからやめようねこんなこと…さすがに今回は恥ずかしくて倒れそうだわ』

クリームがまだ残る顔を押さえる。熱ッ!!!

「え、嬉しゅーない?」

『いや…まぁ、その…何かドキドキしすぎてわけわかんなくなってるけど、嬉しいは嬉しい。…ありがと』

「そういってもらえて何よりや。…ほな、これ」

『?リスト…バンド?』


蔵から渡されたのは四天カラーのリストバンド。

同じく、光からも、未だに顔が赤いけにゃからも、リストバンドを受けとる。


「この世界ではテニプリとかいうのは今は蓮の部屋でしか成り立たん。俺らがいた世界での奴らも例外やあらへん。現に謙也の部屋にあった忍足くんとの写真は今はもう消えとる」

「でも俺らが使っていた物は残ってる。どこでも存在する。なんで、俺らが試合で使ってたリストバンド、プレゼント代わりに蓮さんに」

「これなら離れてても俺らんこと思い出してくれるやろ?俺らが帰ったあとも、な」


『…ありがと。結構これ嬉しすぎる』

ギュッとリストバンドを握りしめる。


『まぁ、キスはいただけないけど』

「ちょっ蓮もう思い出させんといてっ恥ずかしくて死にたくなんねん!!」

「ホンマ純粋すぎて気持ち悪いっすわ謙也さん」

「な、なにおぉ!!!」

「はいはい。…ほな蓮。誕生日おめでとう」

「おめでとうございます」

「おめでとな!」

『うわぁあああん三人とも大好きやぁああああ!!』

近くの光に抱きつく。
と見せかけて光の着ている服で顔を拭く。


「うわっちょ付けんでくださいっ!!!!」

『ふーんだやること全てがかっこよすぎるおまいらが悪いっ!!!』

「ちょおっ、蓮さん離れてっ!!!」


ワァーギャー格闘しながら思う。


やっぱり三人とも大好きだ!!









誕生日ネタ!
実は撫々瀬は昨日誕生日だった←
だからこそですなw

白石さんと財前はキスなんてやりなれてる。
but今回は特別気持ちがこもってる。
謙也さんは純粋だからやりなれてない。
からこそ、なんとか蓮さんに気持ち伝えたいから恥ずかしいけどした。
みたいなそれぞれの思いもあったり。



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