眠る男を間近に見る。
 起きているときは随分と煩い男だが、眠っていると意外なほど静かだ。どうやら警戒心もないらしく、寝顔は穏やかである。

 さして厚くもない胸が軽く上下している。肺が動いているのだ。私はその胸に軽く手を当てて、彼が生きていることを確かめる。その穏やかな動きに、すこし安堵した。心臓の動く音を感じる。ああ、確かに生きているのだ。

 私が暫くそうしていると、男は不意に目を覚ました。なにか馬鹿なことを言われるだろうと身構えたが、彼は軽く笑って、また瞼を閉じた。




呼吸




 






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