「この手に太陽なんか収まるはずがない。一番星も手に入らない。それでも、手を伸ばしてしまうんだ」
 空に向かって右手を伸ばし、円を作った。小さな円の先に見える空はもう暮れて、太陽はじきに沈もうとしている。
 目の前の彼は何も言わない。にこりと笑いもしない。あちゃー、やっぱり。こんなポエマーみたいなこと言われりゃ、そりゃあ反応に困るよな。急に恥ずかしくなって、なんてな! なんて笑ってみせた。頬の赤さは夕焼けが隠してくれるだろう。
 他愛もないことを話そうと口を開いた時、目の前の少年が遠慮がちに口を開いた。
「オレも……オレもおなじだ」
「えっ?」
「オレも、手を伸ばしてしまう……」
 そう言って、す、と右手を上にあげた。目の前の人差し指が、空を指す。その先を目で追うと、暮れかかった空に、一番星が輝いていた。思わず、笑みがこぼれる。相手の口元も、初めてにやりと緩んだ。


*

 まだ組んですぐくらいのイメージでした。



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