やおいだ!
前フリも意味もなくえっちなことをしている!
でも雰囲気えろでしかない!










 雨が降ると古傷がじくじくと痛んで、その度に彼の存在の大きさを思わせる。
 いつも仰ぎ見ていたその金色を男は今も思い出す。そして、痛む身体を妊婦のようにひと撫でする。何かを孕んでいるわけでもないのに。男は唇を笑いの形に歪めた。



*



 足の指を一本一本執拗に舐めていく舌の感触、濡れてざらついたそれが身体を這うその感触に青年は眉を顰める。時折青年の表情を窺うように上目を遣う瞳が心持ち潤んでいて、何とも言えない。青年は身じろいだ。苛立ちとは異なる心のざわめきが、胸の鼓動を早める。
 右脚を少しずつ這い上がって来る唇と舌が、脚を持ち上げる手が、その男の存在が、青年の中でどんどん膨らんでいく。

 既に半ば勃ち上がっている青年の前に舌が絡み付いた。
 熱っぽく見上げて来る黒い瞳に、融けていきそうだ。どろどろと融けて流れていく。きっとこの男の胃にまで流れて、やがて融けるのだろう。そう青年はぼんやりと思った。

 青年の前は再び熱を持ち始めている。それを見つめながら男は体勢を変えた。男の開かれた前は青年にはよくわからない。ただ、その後方に、穴が開いていた。本来挿入口ではない、けれどひくひくと挿入を待ち望むそれに、青年の前は導かれる。そうして、興奮しきっている青年の前は、その中に容易に押し入った。

 やけに饒舌に、腰を振られ、青年は呻く。初めての感覚に溺れそうになっていた。
 目の前の腰を引き掴んでひたすら抜いては挿しを繰り返す。そうそう上手上手、と言わんばかりの目が手が腰が煩く感じ、唇を重ねた。そこらを舐め回した舌だとわかっているのに、吸い付いて来られるとどうにもやめられない。
 どうにもやめられなかった。
 塞きを切ったように総てが溢れ出してしまいそうだ。青年は融けるように男の厚い胸に顔を埋めた。



 横たわる男の腹には大きな傷痕があった。
 ああ、あの時の傷痕だ。青年にはわかる。
 盛り上がっているそれに青年がそっと触れると、男は唇を笑みの形に作った。その表情は、青年の瞳にはいやに寂しげに映った。




 




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