大要塞が墜ちる。
先刻受け取ったばかりの「あの方」の戦死の報を持ち、女は彷徨う。紅い軍服に身を包んで、長い髪は上に向けてまとめて…それは、みんな「あの方」のお好きなスタイルだ。女は本当に「あの方」に心酔していた。
「あの方」のことなら何でも頭に入っていると思っていた。けれど「あの方」がそのまごう事なき妹に、命まで狙われているとは知る由もなかった。
廃物が宙を舞う。
敗北はあまりに明白だ。
この世界を支配しようとしていた「あの方」の声はもうここに届かない。
グッバイ、グッナイ
(安らかに眠って)
そのうち、私はあの方が蔑み続けた連邦政府の捕虜になるのだろうか。それでも生きていなければならない。眠ってしまったあの方の本当の姿を伝えられるのは、きっと私しかいないから。
* お題・Aコースさま
ジオン敗戦…
セシリアさんがどうなったのか、気になるところです。
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