人間の涙を本当に「宝石のようだ」と思ったのは、生まれて初めてだった。
 陶器のような頬に筋を描きながらぽろぽろとこぼれるそれに、そっと手を伸ばす。

 やめてくれ、出て行ってくれ、一人で立っていられなくなってしまう。そう言って、美しい人はこの手を払いのけた。
 この人は、なぜ一人で立っていなければならないと思っているのだろう。そう思い込んでしまうだけの長い時間を、一人きりで進んできたのだろうか。
 己の半分ほどの年齢の青年が、生まれや立場の違いだけで、これほど多くを抱え込んでいる。それは事実として目の前にあった。

 思い切って、たった一言を投げ掛けることにした。そして、その言葉は、この手で捧げられるたった一つの真実だった。


「私は、あなたの味方です」


 紫の瞳に一瞬、狼狽の色が浮かんだ。
 美しい人は、一度はねのけたこの手をむんずと掴み、声を立てずに泣いた。ツンとした常の表情よりも更に幼く見えて、気がつけば、嗚咽する背中を両腕で抱き寄せていた。





き顔かわいい


*

 お題・コルデさま
 妄、想、です。
 私はマリシャル大佐にドリームを抱きすぎではなかろうか……





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