ガンマ団会議室のホワイトボードの前に、グンマが立っていた。その目の前の席にはキンタローとコタローが並んで座っている。二人とも神妙な顔でノートを開いていた。

「今日の議題は、これです!」
 グンマはホワイトボードの真ん中を指す。そこには、楕円型とその上部に三本の波線が書かれていた。
「何だそれは」
 キンタローが生真面目な顔で尋ねる。
「ふふふ……これは『温泉』のマークです!」
「温泉……?」


「温泉にいこう!家族みんなでっ!!」
 グンマは力んだ。両手をぎゅっと握り、机に置く。
 それを見たコタローが立ち上がり、ボードにマジックペンを滑らせた。
「おにーちゃん、温泉マークってこんな感じじゃない?」
「わ〜コタローちゃん上手〜!」
 握った手は途端に開かれて、拍手に変わる。
 かくして、会議は開かれた。

*



「というわけで、家族で温泉に行く計画を僕ら四人で立てたんだー!ねっ、みんなで一緒に行こうよ!」
 今度はグンマのみでなく、キンタロー、コタローもホワイトボードの前に立ち、マジック、ハーレム、サービスが座席に座っている。
 ハーレムがいの一番に口を開いた。
「温泉旅館なあ……酒は出るんだろうなァ」
「もちろん!」
「費用は?」
「ぼくらが誘うんだもん、ぼくら持ちだよ?」
「よし、俺は行くぜ」
「わぁいさすがおじさまー!」
 ハーレムが賛同し、サービスも頷いた。しかしマジックはどうにも訝しげな顔をしている。
「……四人ってどういうことだい?グンちゃん、コタロー、キンタローの三人しか目の前にはいないようだが」
「今ここにはいないけど、シンちゃんも賛成してくれたんだよ!この日は一日休みにしてくれるって!」
「なるほど、そういうことか……本当に家族みんなで行けるんだね」
 マジックの優しげな笑顔に、グンマやコタローが微笑む。企画を立てた甲斐があったというものだ。


「あっ、でもおとーさまとシンちゃんは別の部屋ね!」
「な、なんだってー!?」
「部屋割をみんなで考えました!」
「いろいろと問題が起きてはまずいからな……」
 ホワイトボードにグンマが図を貼り付ける。
「まずキンちゃん、シンちゃん、ボクの部屋。次に、おとーさまとコタローちゃんの部屋。そして、おじさま達と、高松の部屋」
「高松……?」
「ウン、ここにはまだ呼んでないけど、高松にも来てもらおうと思ってるんだ!おじさま達で一部屋じゃ寂しいかなと思って」
「別に寂しかねえけど、いいかもしれねえな」
「高松とは長い付き合いだからね」
 大人たちも顔を見合わせて微笑む。血の繋がった家族でこそないが、彼がこの一家に深く関わっていることをよく知っているからだ。

 その時、会議室に黒髪の男が一人入って来た。
「俺も行きたいな!」
「ジャン博士?」
「高松が行くなら俺も行っておかしくないだろ?」
 自信満々のジャンの顔を見て、全員が考え込む。
「うーん……」
「微妙……だな……」
「アウトじゃない?部屋割考え直さなきゃいけないし」
「えっ」
「一族としてはその、やはりちょっとね……」
 マジックが本気で否定しかけたその時、美しい唇が開かれた。
「いいんじゃないかな」
「サービス!ありが……」
「荷物持ちも必要だろう?」
「えっ?」
 笑顔で固まったジャンを尻目に、そこにいる全員が同意していく。
「それならいいね!」
「アリだな」
「雑用こなせよ〜!」
「まあ……それならいいか……」




つづくかもしれない。




 





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