ふと目を上げると空には星がたくさん出ていた。月明かりと星の光が、男の顔を照らしている。

 ひとすじ、尾を引いて飛ぶ星があった。
 ひたすらに強く輝いて落ちていくその光は、瞬く間に消えた。
 勿体ないことをした。出る前に起こしてやればよかったかもしれないと思い、隣で眠る男の顔を見る。

 空を見てぼうっとしていることが多いのは、むしろ今眠っているこの男の方だ。
 他の友人とは未だ慣れないようで、自分が隣にいなければ一人で空をずっと見ているかもしれないとさえ思う。
 もう少し、他の者にも心を許せばいいのに。
 最近は女子にもモテるのに、その気はさらさらないようだ。
 なぜこいつばかりモテるのか、そう思ってじっと顔を見る。
 薄明かりに照らされ、高い鼻梁の影が頬に出来ている。閉じた瞼に生えた睫毛が、やけに長く感じた。



 一陣の風が吹く。春の夜風はまだ冷たくて、少し身震いしてしまった。
 眠っている男も寒かったのだろう、寝返りを打って、胡座をかいた脚にくっついてくる。
 男の長い腕は、何かを探すように宙を掻いて、すぐにぱたりと落ちた。

 そういえば、幼い頃は時々くっついて眠った。
 一番星が出れば一緒に見たし、長い雨が降れば一緒に外を眺めたものだ。

 もう夜も更けて、離れには誰も来ない。
 このまま一緒に眠ってしまおう。
 まだまだ夜は長いから。
 男はゆっくりと横になり、そのまま目を閉じた。



夜更け



*

 なんだこれ。
 ひとすじの流星です。15〜17歳くらいのイメージでした……




 





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