授業中の攻防

暇だ。物凄く暇だ。私は先生のつまらない授業に頬杖をついてボーッとしている。授業中なのだから真面目に勉強をしなくてはいけないと思うのだけれど、何故かやる気が起きない。

(あれ、やる気ってどんな意味だっけ?そもそもやる気ってどう書くんだっけ。どうしようゲシュタルト崩壊してきた…!)

それからしばらくの間一人悶々とくだらない考え事をしていたのだがそれも飽きてしまった私は隣の生徒にちょっかいを出すことにした。

「叶ー、ひま」
「そんなこと知らん。こっちは真面目に授業を聞いているんだから話しかけてくるなよな…まったく」

そう言って叶は私に話しかけられて心底嫌そうな顔をすると、もう二度と俺に話しかけてくるなというように左手を前後に揺らして追い払うように手を動かしている。

「むー…つまらんやつめ」
「そりゃあ桜井に比べたら俺なんて面白くないだろうな……まったくお前はオレに何を求めているんだ」
「え、極上の笑い?」
「疑問系で返すな。授業に集中しろ、ばーか」
「いっ!?」

ゴツンと大変可愛らしくない音を立てて私のおでこを小突かれた。いや、小突かれたなんて生易しいものではない、叩かれたのだ。やっている方は痛くないだろうがやられる方はとてつもなく痛い。
あえてもう一度言わせてもらうが、とてつもなく痛い。

「ーーっ!!」
「桜井、少しは真面目に授業を受けろ」

私は涙目になりながら痛むおでこを擦りつつキッと叶を睨んでみるが叶はしたり顔で笑う。
 
(何だこの腹立つ顔は!?)

このままやられっぱなしでいるのはなんだか癪だと思った私は指先に力を込める。
 
「くらえ。一撃必殺奥義、目潰…っ!?」
「そうはさせるか」
 
目潰し、と威勢良く声を上げようとしたが叶に気づかれてしまい、私の指先はすっぽりと彼の左手に納まってしまっている。我ながら情けないことになっていると思う。顔から火が出てしまいそうだ。けれど、転んではタダでは起きないぞ私は。その時は叶、お前も道連れだ。ふふふ。
 
などと物騒なことを考えていると教室内が異様に静かなことに気づいた。教師も生徒も皆黙り混んでしまっているではないか。

(これは大変なことをしてしまった)
ことの重大さを悟った私と叶は我先にととばかりに開口一番に言った。
 
「先生、これは違うんです。最初に手?を出してきたのはコイツなんです!」
「…お前らとりあえず廊下に立ってろ。授業の邪魔だ」
「私(オレ)は悪くないんです!」
 
教師に退場宣告をされて尚も自分は悪くないんだと抗議の声を上げるが聞く耳を持ってくれない。

「あんたのせいでしょ」
「お前のせいだ」
 
口喧嘩を始めてしまう二人に織田は呆れた口調で自分ら「ほんまに仲ええなぁ」と言われてしまった。それを聞いた私たちは事前に打ち合わせをした訳でもないのに「どこがだよ!」と口を揃えて反論をしたら今度は「そこがやろ」と苦笑されてしまった。
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