▼ 振り向いたらストーカーが
授業の合間の休憩時間、それは友達同士がお喋りに華を咲かせたり各々が好きなように時間を過ごすことの出来る少しの間の休息。私もクラスメイトと同じように休憩したいよ。
その時不意に嫌な予感がしてぶるりと身震いをした。そろそろアイツが…来る!
「あまねそろそろアイツが来るな」
孝介の奴め他人事だと思ってニヤニヤしやがって…孝介なんて、孝介なんて…。
「孝介なんて、浜ちゃんに犯されちゃえー」
「ふざけんな!!気色悪い」
自分に関係のないことだからって無責任なことを言ったからついカチンときて言い返したのに何故か物凄い勢いで手に持っていた雑誌で殴られた。
クラスメイトの子があの二人って怪しいよねって言ってたからそう言ったのに。
「うぅっ痛い。」
地味に痛い攻撃に頭を軽く擦る。これ以上馬鹿になったら孝介のせいだ。
「当たり前だ、バーカ。」
人の頭を殴っておきながらさも自分が悪くないような態度を取っている。偉そうだこのやろう。思っていても言わないよ、言ったらまた殴られるから。
「誰だ!?あまねにバカって言ったのは!?」
ドアが壊れそうな勢いで現れたのは阿部隆也。認めたくはないけど三橋くんの…三橋くんの女房(違う。
「泉、お前か…あまねをバカって言ったのは」
「なんてことを言ってしまったんだお前は」ともうこの世の終わりねようなオーバーリアクションを取る阿部に孝介は若干引きつつ反論をする。
「別にいいだろ」
「な!?あまねにバカって言っていいのはこのオレだk…。」
「何度もバカバカ言うな」
何度もバカバカ言われると腹が立つので阿部だけ殴った。(孝介は殴ると後が怖いのでキッと睨むだけにした。効果はあまりないけど)お前ら私のことどんだけ下に見てるんだ。
「あまねなんで泉にはやらないんだよ」
至極当然の正論を阿部に言われてウッと言葉に詰まった。
「それは、アンタが気持ち悪いから」
苦し紛れに言ったつもりだったのだがこれはこれでちゃんとした理由になっているじゃん。それに今の阿部、文上だけだと普通に見えるけど物凄くキモい。
「そんなことやって。オレがどMに目覚めたらどう責任取ってくれるんだ?」
「いや、もう既にどMだろそれも末期の」
間髪入れずにすぱーんと毒舌を浴びせる孝介。まぁ、本当にそうだよね。現に今腰をくねくねさせながら喜んでいるし。
「オレは他の奴等にはどSだぞ」
何を言い出すかと思ったらいきなり真顔で言うなよ、周りの視線が痛い。
「んで、あまねの前でだけどMなんだ。」
…ん?なんか言ったような気がするけど、私は何も聞いてなかったし、聞こえなかった。
「よし、孝介。次の授業移動だから行こうか。」
「お、そうだったな。じゃああまね、行くか。」
「うん!」
孝介も何事もなかったかのようにしてる。私達がいた教室からは阿部が「放置プレイか。オレの為に…そんな事まで…あまね大好きだ!!」とか不穏なこと言ってたけれど私には関係ありません。
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