くっつくな!

「こーすけぇー」

「………。」

来たな、あまね。だが、いつものようにはいかねーぞ。今日のオレは一味も二味も違うぜ。

オレはこれからあまねから繰り出されるであろう攻撃に構える。戦闘準備は万端だ。いつでも来い。

「こーすけぇー」

「させるかっ」

攻撃される直前に軽やかに避けるオレ。毎回同じ手に引っ掛かるかよばーか。

「やるわね孝介…けど、隙あり!」


あまねからの攻撃は一回だけだと思って油断したオレはあっさりとあまねに捕まってしまった。

「うげぇっ」

力強く抱き締めるあまねに思わず間抜けな声を出してしまった。

「えへへ。抱きつき攻撃」

嬉しそうにえへへと笑うあまね可愛く言って許されることじゃないぞ、先刻の攻撃。地味に痛かったんだが。


「あまね暑苦しい、てか物凄い恥ずかしい」

「ん〜?何か言った?」

「っ!暑苦しいって言ったんだ。」

「大丈夫、私全然気にしてないから。」

「俺が気にするんだ!」

少しは気にしろ。周りの視線が痛いほど突き刺さる。もしかして、あまねはオレが恥ずかしくないとでも思ってんのか?

…それに。

「あのなあまね、今何月だと思ってんだ。」

「え?7月。」

ケロリとした顔で言うな。7月だぞ!?夏なんだから暑いのにっ!なんで、わざわざくっつくんだ!暑苦しいことこの上ないぞこのやろう。

「だからな、あまねくっつくな暑苦しいから」

諭すような口調で言うオレにポカーンとしたあまねだったが、すぐに笑顔になって。


「じゃあ、寒くなったら抱き付いてもいいのね、わかった!!」

「分からんでいい!!」


くそう。全く人の話を聞かないあまねといると目眩を覚える。暑苦しいので離れてくれとなんとか説得して、今はこれで我慢するーとか言いながらオレの目の前に来てニコニコと笑ってる。

…なんかもう、色々な意味で負けた気がする…。



(早く寒くならないかな?)
(もう、どーにでもなれ。)(ん?何か言った?)
(何もねぇっ)


 
 



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