見つめて欲しかった

誰だって好きな人にはずっと見つめられていたい。そういうものでしょ?

私の好きな人は、この田島悠一郎。私にとっては、小さな頃からの腐れ縁?みたいな物心ついた頃から隣にいてくれる大切な存在。


でも、高校に入ってからは、悠の好きな野球があるとかであまり、いや!全然構ってくれない。

滅多にない休みの日に、私の家に遊びに来てくれたときは本当に嬉しかった。

でも…。

「あまねに報告があるんだ。オレさ、彼女が出来た!」

凄く嬉しそうに話す悠。

「うわ、良かったじゃーんおめでとっ。」


私は、精一杯明るい声で祝福する。


「へへっ。ありがとな!あまねには一番に報告したかったんだっ」


一番に報告したかった?

私は、悠にとっての一番になりたかったのに…。

大好きなんだけどな。
もう悠は私じゃない他の人に笑いかけるんだ…。


「うおっ!!え、あまねどうしたんだ!?…もしかしてそんなに嬉しかったのか?オレに彼女が出来んの!」
違うわ、勘違いも甚だしい。嬉しい訳ないじゃない…。こんなに長い間一緒にいたのに私の気持ちに気付かないあんたの鈍感さに呆れてんのよ馬鹿!!


…そう言いたいのに、言葉にならない。言葉に出来ないのかもしれないけど。もし、私がこの気持ちを言葉にしてしまったら何て言うのかな、やっぱり困るかな?それとも私と付き合ってくれる?

なーんて。そんな訳ない、か。今まで、ずっと一緒にいたからそんな気になれないよね。


だからね。


「さよなら」

「あれ、あまねなんか言った?」

「ううん。何も言ってないよ」

「そっかぁ?」

「うん。」



さよなら。
私の苦しくて切ない片思い


 
 


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