CHUして!

付き合って約数ヵ月。未だに一緒に帰る際手を握ったことしかしていない。健全でピュアなお付き合いだ。
最初の内はそれだけで満足していたが、そこから先は全く進まない。否、進もうとする気配すらない。

ここは私が頑張るしかないと思い、この間勇気を出して梓に向かって言ってみた。

「ちゅうして!」

そう言ったら顔を真っ赤にして「ムリだ。」と一蹴されてしまった。


周りの子達は普通にしてるのに、何故か梓はしてくれない。…いや、私を大切にしてくれるのは分かるんだよ。それに、梓はチュウしてくれなくても私は幸せだけどさ…。でもね、好きな人とはちゅうしたいって思うんだ。

それなの梓はさ!

…もしかして私とちゅう、したくないのかな?それか私に魅力なんてないんじゃー…?


「おい。あまねどうかしたか?」

悶々と、そんなことばかり考えてたら梓が話しかけてきた。びっくりした…。


「うぅん?なんにもなーいよん。」

そっか、ならいいけどなと言う梓に只ね、と付け足す。

「梓がどうしたら私にちゅうしてくれのかなー?って思ってただけ」

にっこりと効果音が付きそうなくらい笑ってあげた。だって…梓とチュウしたいもん。

案の定、梓は顔を真っ赤にしながらアワアワ慌てている。



「あのなぁ…あまね、女が恥ずかしげもなくちゅうしろとか言うなよ」


やっと言えた言葉がそれですか。しかもどもりながらだし。


「私は、梓が好きだから
ちゅうしたいって思ってたの」

もうこの際だから、今まで思っていたことを言ってみる。それを聞いた梓は、もうこれ以上にないくらいに顔を真っ赤に染めている。

「うっ…。あまねがそんなにしたいんなら…オレだってその…」

「え!?本当に!?」

絶対にしてくれないと思ってたのに。

「その、あまね…目、瞑って…くれ」

「う、うん」

「あまね…オレ絶対、幸せにするから」

「えっ!?」

壊れ物を扱うように触れるように、緊張で震えながら私の肩を強く抱き締めてくれるのが良く分かる。

そして梓は軽く触れるだけのキスをした。甘くて甘くて蕩けるようなキスでした。


(耳元で囁くのは反則だと思うよ!)
(知らねぇよそんなの!!)
(もう!)


 
 


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