▼ CHUして!
付き合って約数ヵ月。未だに一緒に帰る際手を握ったことしかしていない。健全でピュアなお付き合いだ。
最初の内はそれだけで満足していたが、そこから先は全く進まない。否、進もうとする気配すらない。
ここは私が頑張るしかないと思い、この間勇気を出して梓に向かって言ってみた。
「ちゅうして!」
そう言ったら顔を真っ赤にして「ムリだ。」と一蹴されてしまった。
周りの子達は普通にしてるのに、何故か梓はしてくれない。…いや、私を大切にしてくれるのは分かるんだよ。それに、梓はチュウしてくれなくても私は幸せだけどさ…。でもね、好きな人とはちゅうしたいって思うんだ。
それなの梓はさ!
…もしかして私とちゅう、したくないのかな?それか私に魅力なんてないんじゃー…?
「おい。あまねどうかしたか?」
悶々と、そんなことばかり考えてたら梓が話しかけてきた。びっくりした…。
「うぅん?なんにもなーいよん。」
そっか、ならいいけどなと言う梓に只ね、と付け足す。
「梓がどうしたら私にちゅうしてくれのかなー?って思ってただけ」
にっこりと効果音が付きそうなくらい笑ってあげた。だって…梓とチュウしたいもん。
案の定、梓は顔を真っ赤にしながらアワアワ慌てている。
「あのなぁ…あまね、女が恥ずかしげもなくちゅうしろとか言うなよ」
やっと言えた言葉がそれですか。しかもどもりながらだし。
「私は、梓が好きだから
ちゅうしたいって思ってたの」
もうこの際だから、今まで思っていたことを言ってみる。それを聞いた梓は、もうこれ以上にないくらいに顔を真っ赤に染めている。
「うっ…。あまねがそんなにしたいんなら…オレだってその…」
「え!?本当に!?」
絶対にしてくれないと思ってたのに。
「その、あまね…目、瞑って…くれ」
「う、うん」
「あまね…オレ絶対、幸せにするから」
「えっ!?」
壊れ物を扱うように触れるように、緊張で震えながら私の肩を強く抱き締めてくれるのが良く分かる。
そして梓は軽く触れるだけのキスをした。甘くて甘くて蕩けるようなキスでした。
(耳元で囁くのは反則だと思うよ!)
(知らねぇよそんなの!!)
(もう!)
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