ときめきを頂戴!


西浦の高校に入ってから随分経つ。初めは緊張やらなんやらしていたが、そんなものはだんだん慣れてくる。

入学式のドキドキやワクワクなんてものはもう消えた。今、残っているものはといえば…。


「あーもう。つまんないっ…退屈。」

いつもと変わらない日常。授業。全てに置いて。
 
「退屈。」

あーあ…。本当につまらない。そう思いながらチラッと遠くの席で騒いでいる田島くんたちを見る。


「いいなぁ。楽しそうで」

ポツリとついた独り言に気づいたのか。私の視線に、気づいたのか知らないけど、田島くんがこっちを見てニカッと笑った。

私は顔が赤く染まるのを感じながら軽く会釈をして前に向き直す。


ちょっと!なんで私、顔真っ赤になるのよ…。あと、収まれ!私の心臓っ。


どくん。

どくん。


「なぁ。あまね」

どっくん。

「うわあ!!はっはぃ!?」

うわぁ。急に田島くんが、目の前に来るから声、裏返っちゃった…。


「あまね。暇ならオレと付き合わない?今なら休まる時間は与えないぜっ。」
「…はぃ?」


遠くで泉くんが"抜け駆けすんじゃねー!!"とか言っている。

とりあえず。

「退屈な時間は与えてくれないんだよね?」

「もっちろん!ずっとあまねをドキドキしっぱなしにしてやんよ。」


これから退屈なんかしないで、ずっとドキドキしてられるかも。

でも。
ドキドキの連続はちょっと勘弁して欲しいかも…。


だって。
心臓に悪いんだもん!

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