時は止まらない



ずっと、ずっと…。

この時間が続けばよかったのに…。

今、私たちは中学3年で受験シーズンの真っ只中。みんな、受験のパワーの影響なのかピリピリモード全開です。

その中で一番お気楽そうにはしゃいでいるのが。私、桜井あまねの好きな田島悠一郎くん。

一目惚れでした…。

でも、田島くんは野球が上手いから色々な高校から呼ばれている。私はというと、自分の学力と通いやすさで西浦を受けるつもりでいる。


先生からも桜井なら合格圏内だろうって言われている。

4月からは田島くんとも何も言えずにバラバラになるのかなぁ…嫌だなぁ。


神様、お願いします。ずっとこの時間が続くようにして下さい。どうせ叶わないということは知っているけど願わずにはいられなかった。



***


満開の桜。風に揺られて花びらが宙を舞う4月。西浦高校入学式当日


「あれ、おーい。お前、オレと同じ中学だった桜井あまねじゃないか?」

「え、あれ!?た、田島くんどうしてここに!?」

彼は私と同じ高校の入学式に来ていた。焦る私と裏腹に彼は満面の笑みを浮かべていた。何故?どうして?そんな言葉が頭の中をぐるぐる巡る。

「家から近いからここにしたんだ、それに安上がりだからなーっ」

「え、えぇぇ〜!?」

そんな理由で此処に来たのか!?田島くんだったら沢山の高校からスカウト来ただろうに…桐青高校とか。


「なんでそんなに驚いてんだよ、あまねは」

「だ、だって田島くん野球上手いから、他の高校かと思って…。」

「ん…。それもいいなーとは思ったけど、それじゃあ強い奴ら倒せねぇじゃん!」

「あはは…でも、田島くんらしいかも…」

「だろー?まあ、それもあるんだけど…」

「?」

ちょいちょいと此方を招くような仕草をしてきたので不思議に思いつつ近くに寄ってみた。

「あまねが西浦に行くって言ってたのもあるんだぜ」

「んなっ!?」

「あまね、顔真っ赤だぞー?」

「だ、誰のせいだと思って…っ!」

「オレのせい、だなっ!!ニヒッ」

覚悟…しとけよ、あまね?これからどんどんアピールしていくから!

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