頑張れキモベ

「おはよう」
 
「おはよー」
 
いつもと変わらない普通の挨拶を交わして桜井は自分の教室の扉を開けるとー…。
 
「子っ作りっしまっしょ」 
「………。」
 
 
何も言わずに扉を閉めた。少しばかり遠い目をしながら、現実逃避を始めた。

ある、ここは何処だっけ?もしかして、私迷った?そうだよね、やだなーもう。自分の教室の場所も分からないだなんて。ドジ過ぎるぞあまね。
 
ガラっ
 
「ここであってるぞ、マイスウィートハニー」
 
「、!?だ、誰かあたしに嘘だと言ってちょうだい!」 
ヒステリックに騒ぐと阿部くんの手が桜井の肩の上に乗った。いや、本当にもう迷惑だし、気持ち悪いから私に関わらないで欲しいんだけど。
 
「あまね本当だぞ」
 
「もうやだ!阿部に犯される、誰か助けて。花井キャプ、水なんちゃらくん」
 
本っ当にヤバイ!誰かに助けてもらえないとこれから先、一生阿部にイロイロされるよ。

かくなる上は阿部を闇に葬るしか、道はない。

「ったく、物騒なこと考えるなよ」
 
「えっ?」

もしかして花井キャプは可愛い私を助けてくれた王子…?
 
「王子様じゃないから」
 
「即答なのか!」
 
「当たり前だ。」
 
「じゃあ何で思ってること当てられるんだよー?」
 
「人には色々なことがあるんだよ、それを聞くってのは野暮ってもんだろ…なあ、桜井?」
 
「花井キャプにも色々あったんだね、分かったよ。もう何も聞かないから…さぁ、私の胸の中に顔を思いっきり埋めなさいな」
 
「オレにかまうなー!」
 
「あのさ…もしかしてオレらのこと忘れてないよな?」
 
「あ゛……。」

「酷いよ、あまねオレのこと忘れるなよ。水なんちゃらじゃなくて水谷だから!!仮にもあまねは野球部のマネジなんだからさ」
 
「ふ…、オレは大丈夫だぜ。オレとあまねの愛は不滅だからな。…それに放置プレイってのも中々萌えるしな」
 
「ヤバイヤバイ、阿部が文字だけでは表現できない顔になって来てるよ!?」

「さぁ…オレ達の愛を育もうぜ、あまね。ふひひ…」
 
「っ、怖い!普通のホラー映画よりも怖いよ!」 

「あまね…。子っ作りっしましょう」
 
「ヤダヤダ!本っ当に勘弁して」
 
「嫌よ嫌よも好きのうちっていう位だからなあ…本当に可愛いなぁあまね」
 
「くそう…全然聞いてない…ここは我らの花井キャプを…」
 
「花井ならいないよ〜」
 
「なにぃ!?」

ちっ!逃げたな。
 
「修業に出たって。置き手紙に書いてあるよ」
 
「なんて書いてあるの?」 
「え…と。
『もう西浦のキャプテンでいることに疲れました。探さないで下さい…。』
だってさ。」
 
「うわっ!なんか涙のアトがあるし…疲れたんだね。可哀相に…」
 
「いやあまねもちょっとは絡んでると思うけど」 
「シャラップ!」
 
「酷いよあまね」
 
「とりあえずコレ(阿部くん)をどうにかしないと」 
「どーするの?」
 
「とりあえず…逃げろ!」 
「え゛ぇぇー!?」
 
「お、放置プレイの後は追いかけっこだな。負けないからな」
 
「ひぃっ、追って来たー!」
 
「まてー食べちゃうぞ」 
「ヤダー!!もう此方来んな

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