押してダメなら……?



叶修悟です。ただいまとっても不機嫌です。理由は簡単、毎日毎日(ウザイほど) 
「修ちゃーん☆大好き!」 
と、あまねがはにかみながら言ってくるくせに、ここ最近言ってこなくなったからだ。
別にアイツ…あまねに大好きって言ってもらいたいんじゃないんだけど。
 
あまねが他の男と楽しそうに笑ってたりはしゃいだりするのをみると正直言って
 
「ムカつく…」
 
なんだよ?オレのこと好きだったんじゃないのかよ?オレってそこらのヤツらと同じってことなのかよ?
…そうなのかよ?あまね。
くそっ。目頭が熱くなってきた。なんなんだよ、本当に。


「修ちゃんっ」

「っ、」

なんでだよ…なんでこういう時だけ優しそうに笑うんだよ…。
 
「ねぇねぇ。修ちゃん、もしかて妬いた?」

ニヤニヤした顔で言うあまね。

「べ、別に。なんでオレがあまねなんかの為に妬かなきゃなんねーんだよ」

軽くあまねの頭を小突いた。それでもニヤニヤ顔はなかなか元には戻らない。 
「痛いなーもう…でもさ今の修ちゃん、顔真っ赤だよ?それに、さっきあたしが他の人と話してた時泣きそうだったよ?」
 
「な、なんでオレがお前のことで泣かなきゃなんねーんだよ」
 
ついつい照れ隠しで言った言葉にあまねは傷付いたような顔をした。
 
「…そっか、そうだよね…あたしが何度言っても、修ちゃんは振り向いてくれない訳だよね。ごめんね、迷惑だったよね?大丈夫だから…もう何も言わないから…」
 
そうじゃないんだ。別にオレはそういうことが言いたいんじゃないだ。あまねに伝えなくてはならないのに、声が震えて言葉が出ない。お願いだから、オレの側から離れないでくれ。


あれ…もしかしてオレ…あまねのこと知らないうちに好きになってた…?
 
 
「お、おい。何もそこまでいってねぇだろ!そ、それにあまねのこと一度も嫌いだなんて言ったことないし…むしろオレはあまねのことが…だいすきだ」
 
「えっ…」
 
なんだよそのマヌケ面…でも、それもなんでか分からないけど…愛おしいと思う…。いつもアイツばっか言ってるから。

耳元で囁いてやった。
 
「あまね…愛してるよ…」
 
「え、えぇぇー!?」
 
おもしれー。顔真っ赤になってるよ。
 
 
「あたしも修ちゃんのこと愛してるよ」
 
「っ、反則だろ、それは」 
 
(ていうか、なんでオレに数日話しかけなかったんだよ)
(だって…まりちゃんが押してダメなら引いてみろって)
(っ、く…やられた…)

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