それゆけキモベ

キンコーン。カンコーン…。
 
「終わってしまった…。」 
ただ今、下校のチャイムが終わった。普通の生徒なら大変喜ばしい事なのだろうがあたしは違う。何故ならこれは、これから起こるであろう戦争の始まりの合図だからだ。

「あまねー。今日は部活がないから一緒に帰ろう…ぐふう!?」

知らないうちにあたしの目の前に現れた阿部くんに驚いてつい(ここ重要)彼の顔を勢いよく殴った。

「ちょっと、花井。何で今日部活ないのさ!?」
 
そしてそのまま花井に抗議に行った。


「そんなあまねもステキ…だぜ…ぐはあ」
 
 
なんかキモベが、アハハとか言いながら倒れてるけれど、そんなの気にしてられない
 
「しかたねぇだろ?今日からテスト期間なんだから。」
 
球児の象徴とも言える坊主頭をポリポリとかきながら、はぁーと、か溜め息をついていた。
 
 
 
「まったく。テストで人の何が分かるんだぁー!」
 
「そうだよな!テストなんか、なくなっちまえー」
 
「クソレは、黙っとけ!!」
クワッ!効果音がつきそうな勢いで(一応)黙らせておいた。


「テスト勉強ならオレが教えてやるから安心しろ。手取り足取り…な。ふひひひ」 
 
いつのまにか復活した阿部。なんかイイ笑顔で、さらっともの凄い事を言っている。はっきり言って
 
「阿部、キモいよ。ヤバい気持ち悪いからこっち来るな」
 
「フッ…。そんな事言ってあまねはオレへの愛を試しているんだろ?」

そう言いながら手をワキワキと動かしながら、いかにも今から抱きしめますといった感じで此方に向かって来る。

「ちょッ花井助け…」
助けろと言おうとしたら球児独特のスマイルで胃薬持って何処かに逝ってしまった。
失礼、行ってしまった。
 
「もう!!何でこんな時にいなくなるの。あたしの貞操の危機なんだよー!」
 
周りから見たら変な誤解を受けそうな言葉を吐いていた。
 
「オレ、桜井のこと好きだから守って見せる」
 
どさくさ紛れて愛の告白をし始める水谷くん。
 
「本当に?文貴ありがと、大好き!!」

あっさりと大好きだと言うあまねちゃん。しかも阿部さんちの隆也君に見せつけるように、水谷君んちの文貴くんにハグ(しているように見える)をした後。
 
「…なーんてね。文貴のことは友達としての好きだよん」

ほんの少し小悪魔っぽくウインクして「じゃーね。また明日」と言いながら帰ってしまった。
 
―暫くの間―
 
 
「クーソーレーフート…?」
 
さっきのあまねちゃんへのハグを(しているように見える)見せ付けられた阿部君はご立腹です。 

「クソレフトくーん?ちょーっと、こっち来てくれるかな?」
 
「ひぃぃ!誰か助けて…。」
 
  
 
 
後日談。
西浦ーぜのキャプテン花井君が涙ながらに語ってくれました。
 
「オレ…。早くクラス替えしたいです。じゃないと胃に穴が開きそうです。(切実に)」

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