願い事はただ一つ

今日は待ちに待った七夕の日。私はある野望を果たそうとしていている。我らの西浦高校野球部のメンバーと違って浮かれてなんていない。今日のあまねは本気モードなのだ。

つまりは、気合いの入れ具合が違うのだ。

「笹の葉ーさーらさらーのーきーばーに揺ーれーるーっと」

本当は二人が一年に一度会えるお話なのに、願いを叶えられる織姫と彦星には申し訳ないが、私の願いを叶えておくれ。


事前にチェックした天気予報では今夜は晴れるだろうと言っていた。今夜は絶好の七夕日和だ!


「あれ、今日のあまねテンション高けぇなあ…なんか変なの食っちまったんじゃねえのか?」

「あのね、田島くんと一緒にしないでくれる?」

「で、何してんの?」

「あぁ。七夕だから願い事をしようかなってね」

「へーえ。なんて書いたんだ?」

私の返事も待たずに横から覗き込んだ。人の話は最後まで聞こうねって教わらなかったのか…まあ、私も人のこと言えないんだけどね

「えーと、なになに…"阿部が元に戻って欲しい"?」


田島くん、頭にいっぱい「?」マークが出ている。書いてある内容を理解出来ていないな。

「なんかね…分からないんだけど、最近阿部くんの様子がおかしくて…。」


視線を感じて振り返るとそこに阿部くんがいて、明後日の方向を見て口笛をしてたり、とかしてて…。

出会った頃と比べて少し…いや、だいぶおかしい。


「ふーん…あ、そういえば栄口も何か言ってたな」
「…?何を?」

「『お前。あまねにしつこ過ぎ、このままだとストーカーになるぞ』って」

「……。」

栄口くん…。


「んで、阿部が言い返したんだ」

「えっ。なんて言ったの?」

「もう、ストーカーになってるって…。」

「…………。」


七夕パワーで元に戻してください。今すぐに。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -