当たって砕けろだ!
「おいっ!大丈夫か!?何処もケガないか!?」
孝介たちが私のところに駆け寄ってくれた。
でもーー…。
田島くんは…来てくれなかったけど…当たり前か
「うん…平気、だよ」
思ってたより痛くなかったからそう答えてみた…。
でも、大丈夫って言っても全然聞こえないフリしてケガがないか確認してくれてる…。
「なあ、こずえ、蚊にでも刺されたのか?」
「刺されてないけど…どうしたの?」
「いや…別に…なんでもない…。」
なんでそんなこと聞くのかな?変な泉くん…。
「おい、こずえ田島追っかけろ!!」
「えっ?」
泉くんは何を言っているの?だって…私。
「フラれ、たん、だよ?なのにっなんで!?」
そりゃ私だって…田島くんに会いたい…でもっ!
「拒絶されたんだよ!?もうムリだよ!?」
いきなり何を言い出すのよ!?そんなの無理に決まってるじゃない。
「俺が好きなこずえはなんでも一生懸命で真っ直ぐに突っ込んでいくヤツだったけどな。」
なによ、なによっ!真っ直ぐ突っ込むって…。
「もう、当たって粉々に砕けてやるー!」
畜生こうなったらもうヤケだ!行けるところまで行ってやろうじゃないの!
私はただがむしゃらに走った。
「そうだあれが俺の好きな…こずえだ…」
追い掛ける、と言っても…
「どこに行ったか分かんないですけどー!」
暗くなるなんてダメダメだ。行く前に泉くんが真っ直ぐ突っ込むって言ってたし…よし。とりあえず、真っ直ぐ行こう!違うと思うけど…!
ーーーーーー…。
「ハァッハァッー」
うぅー…全然見つからない…
もうどれくらい走り回っただろうか。はあはあと息を切らして探し回ったがなかなか見つからない。
「ああああ!田島くん見つけた」
え、ちょ、なんで逃げるの。しかも全速力なんだけど。野球部の足に帰宅部の私が追いつける訳ないじゃないですか。でも、ここで諦める訳にはいかないんだから。
「絶対絶対逃がさないから」
こんな所で諦めたら、泉くんにまた何か言われるし…。
「田島くん!待って、お願いっ待って…ぎゃあああ」
夢中で追いかけていたら廊下に転がっていた何かに躓いて盛大に転んでしまった。痛い。
悔しい後もう少しで追いつけそうだったのに…。そう思うとじわりと視界がぼやけてきた。最近の私泣きすぎ。
「あれ……」
突然私の体が浮いた。どいういことだろう。もしかして私魔法使いになっちゃった…?なんて思っていると目の前というか、超至近距離には不機嫌そうな田島くんがいた。あれ、もしかして私
「お、おお姫様抱っこされてる!?」
「ちょっとうるさい、黙ってろ。」
「はい…。」
怖い…いつもの私の知ってる田島くんじゃないみたい…。
「あ、あのどこに行くんですか?」
自然と敬語になってしまった。
「…保健室…。」
ボソリと呟くように言った。
「え、そんな私は全然大丈夫」
「じゃないだろ」
顔色一つ変えないで私を抱っこしたまま淡々と喋る。このシチュエーションは嬉しいんだけど、今の田島くんの顔が怖い。
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