君に捧ぐ | ナノ
似合ってるね

私たちはとりあえず事前に用意されていた衣装を身にまとってみた。
 
 
「お、ともちゃん似合ってるじゃん」

「いやいや、こずえの方がカッコイイって!」

「でもーー…やっぱり男子の方が」

くるりと男子生徒の方へと向き直る。

「うわ、すごい!みんな可愛い」

「華奢だな」



女子から口々に可愛いとか言われてる男子…。生暖かい視線を送ってあげる。
 
ふと目線を別の方へ向ける。あ、あの姿は田島くんじゃ……


「か、可愛い…!」


で、でも田島くんに私拒絶されたんだよね…。

思い出したらヘコんできた……

「うわっ…と、すいませーーい、泉くん!?」
 
黒くて肩にかかるくらい長いウィッグをつけて、短いスカートの制服を着てる泉くん。


「かっかわい…ブフッ」
「…………」
「痛い痛い」
 
本日何回目か分からない攻撃を受けてしまった。ちぇっ似合ってるのに…。



「青井さん…ちょっといい?」
「なに?」


えーと誰だっけ?この男子生徒


「青井さんに彼氏がいないって聞いたんだけど本当か?」
「ええええなんで知って」

 
ちょっと誰だよ。人の傷に塩塗ったのは…泉くん?いや、いくら泉くんでもそんなこと言う人じゃないし…


「屋上から聞こえたんだけど」


うわああ私か、自分で傷に塩を塗っていたのは。


「あ、えと…」
「…………」
 

え?な、何が起きたの!?


「オレ…前から青井さんのこと…。」
「え、なにやめて」

ひぃぃ知らない人に抱きつかれた!?


「あ…悪い…ごめんな、怖い思いさせて…」



パッと私から体を離す。



「ごめんなさい、私こそ大声で言って…。それからーー…。
ありがとう私を好きって言ってくれて…」



私の事なんか好きって言ってくれて本当に正直嬉しかったから素直に笑えた。

ありがとう。



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