君に捧ぐ | ナノ
泉くんの優しさ

その場にいたくなくて私は勢いよく飛び出した。周りに人がいないことを確認して今まで抑えていた涙が溢れ出した。 
 
「っ、うぅっ…大好きっだったん、だけどな、フラれっちゃった…っ」
 
 
…違う、本当はフラれるコトよりも田島くんに、孝介との関係をそういう風に見られていたことの方が…。
 
 
ショックだった…。
 
 
 
 
「こずえっ!!」
 
「っ、い、泉くん…。ど、どうしてココにいるの…?」
 
「心配になって追っかけて来たんだよ」
 
 
ぶっきらぼうに言っているが、私のことを心配してくれているのだろう。少し息切れをしている…。 
 
そんな泉くんの優しさにまた涙が出てきた。
 
 
「あ、りがとっうね…っく…」
 
本当に、本当に…。
ありがとう…。
 
私、これでも感謝してるんだよ?
 

田島くんのことで相談聞いてもらったり、たまに悪態はつくけど本当は元気づけてくれてたんだよね。
 
 
「いいさそんなこと。…それよりも、此処ででおもいっきり泣いちまえ。大丈夫。アイツも、誰も来ないから」
 
 
駄目だよ…。
そんなに優しい声で喋らないで、じゃないと…。
 
 
 
「っ、ふぇ…んっう、ふぅ!!」

「…よしよし」



泉くんは何も言わずに私が泣き止むまでずっと側にいてくれた…。




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