「見せて。ナースさんが気持ちよくなるところ」

こんなに濡れてるのに、と遥のものを優しく指で辿りながら湊が笑う。とろりと雫をこぼす花芯はぴくぴくと小刻みに揺れては解放を待っている。
ぎり、と唇を噛みしめて、遥は湊の中心を握り込んだ。嫌がらせに、手の力を強めてしまったがそんなことは知らない。

「っ、み、るな……っ」

ぴたりと入口に密着させると、濡れそぼった蕾が熱に吸い付くようだ。湊はやや息を乱して、じっと恋人を見上げている。

「ん……っ、ぁ、…!」

中心を支えつつ、腰をぐっと落として先端を呑み込もうとする。ぬるぬると何度も滑ってしまい、刺激を堪えるためか、湊が眉を寄せた。は、と遥も呼吸を荒くして場所を探る。

「く、ぅ………あっ、あぁ……!」

うまく嵌まったのか、先の丸みがぬぷんと入口をくぐり抜ける。ぞわぞわと背筋を走る痺れに全て持っていかれそうになるが、中腰故にどうしても腹筋に力が入ってしまうので、そこからが思うように進まない。

「は、ぁっ、なん、で……っ」

「大丈夫。ゆっくりでいいから、力抜いて」

湊が自らのものを支えてくれたので、遥はぺたりと彼の腹部に両手をついた。腕と膝を使って、重心をそっと腰に移動させていく。

「あ……ぁっ、やぁ……っ、これ、っ」

挿入の角度の問題だったのか、湊が固定するとずぶずぶと筒が熱を呑み込んでいく。それでも普段ほど脱力できないのである程度の抵抗は感じるが、潤滑剤の滑りも借りて、徐々に腰を落としていった。

「は……、上手、ナースさん」

「ん、あっ、はぁ……!」

スクワットの如き中腰は運動不足の体に堪える。根元まで咥え込むことはできなかったが、尻がトンと湊の下腹に乗ったところで遥は止まった。はぁはぁと乱れた呼吸を整える間もなく、湊に腿を掴まれる。

「こっからでしょ? ね、脚開いて…よく見せて、ナースさんのかわいいとこ」

「ふ、ざけ……あっ」

ぱかっと膝を割った先に、ナース服を押し上げている遥の中心と、その奥でずっぷりと湊のものを咥えている後孔が現れる。羞恥にきゅんと締まる刺激にいてもたってもいられず、湊は思わず下から腰を突き上げた。

「んぁっ」

「えっちすぎ。ほら、ナースさんもお尻ゆさゆさしていいから。ずっと我慢してたんでしょ、気持ちよくなってよ」

「う、るさ、ぃ……っ、は、ぁ…っ」

再び膝をシーツについて、遥は腹の上で遠慮がちに腰を揺する。中のものを前後に当てるように、すりすりと腰を押し付けたり、少しだけ抜き差ししてみたり。理性がぶっ飛んでいる上、ここまでしておいて恥も外聞もあったものか。う、と湊も一瞬だけきつく目をつむった。

「やばい、それ気持ちいい。ていうか大胆だしえっちだし、絶景なんだけど。なんでもっと早くやってもらわなかったんだろ」

「し、ねっ、んん、ぁ…っ」

「自分で気持ちいいとこ、わかるでしょ? そこにトントンってしてごらん、ね?」

「ばっ、そんなっ……ふ、ぁ、あぁっ」

「えらいえらい。じゃあ、次はぐりぐりって強めに押し当てて…」

「ひっ、あ、あ―――っ」

「っく、きっつ……。力抜けてない分、いつもより締まる…」

最奥で疼く粘膜を、促されるままに硬い肉で抉る。押し上げた途端に腹の奥がビクビクと震え、視界で何度も火花が散った。おまけに湊のそれをきゅんきゅんと締め付ければ、ぐうっと質量が膨れ上がって内部を圧迫する。怖いもの見たさ、というのもおかしいが。少しだけ、あと少しだけ、と本能に唆され、感じるポイントをめがけて腰を振り下ろす。

「ん、くぅ……っあ、ぃやだ、こんな…っ」

たん、たんと柔らかな尻が湊の腹にぶつかる。みっちりと欲を頬張ったまま身動ぐ遥は、快感に翻弄される己を直視できないのか、困惑した表情で湊を見下ろしていた。

「なんで? かわいいよ、すごく。ナースさ――ううん、大好き、遥」

湊が両手を伸ばし、遥のそれぞれの手と、指を絡めて繋ぎ合わせる。ぎゅっと握った手を支柱に、ゆすゆすと揺れる腰の動きがより奔放になっていく。

「あ、も……っ、やだ、ぁっ……!」

奥に突き当たるまでずんずんと突き上げられ、とろけた内壁が熱を一心に摩擦する。既に遥のものも限界を迎えているのか、振動に倣ってあちこちに蜜を飛ばしていた。うん、と湊も頷く。

「一緒に、気持ちよくなろっか。遥のお腹にたくさん出させて?」

「ば、かっ、あ、ぅあ……っ」

ぐん、と下からグラインドするように杭を打ち付けられ、遥の腰が跳ねる。襞を掻き分けた先の最奥をしたたかに穿たれれば、刺激された粘膜が湊のものにきつく吸い付いた。

「うわ、やば……っ」

「だ、め……っ、出すな、ぁ、あぁ―――っ」

勢いよく吹き上がった欲の種をたっぷりと浴びせられ、遥も絶頂を駆け上がる。最後まで精を搾り取るように内壁がうねり、ビクビクと湊のものが震えるのがわかった。

ーーー

「唐揚げできたよ! 揚げたてです! はい!」

「……」

無言で箸を取り、大根おろしの小鉢をお供に鶏肉を頬張る遥。行儀悪く肘をつきながら、旬のタケノコをふんだんに使った炊き込みご飯と、定番となりつつあるトマト卵炒めにもぱくつく。ご機嫌を直すため、今夜は栄養バランスなど度外視だ。箸が進んでいるあたり、献立には概ね満足しているようだが、表情は般若の面に近い。不機嫌を隠そうともせず、黙々と食事をとっている。エプロン姿の湊も恐る恐る、向かいに腰を下ろす。

「おいしい?」

「……」

「うう。わ、悪かったって! 調子乗ったのは俺だし、恥ずかしい思いさせたのは謝るから!」

謝るからなんなのだ、と言わんばかりに遥が睨み付ければ、湊はつんつんと人差し指をつつき合わせる。

「でもほら、マンネリも良くないと思うし…遥もちゃんと気持ちよかっ」

「しね」

「しねはひどくない!? いや、うん…心中はお察しするけど。でも俺は後悔してないからな。きゃわいくてえっちな遥が大好きになりました! 以上! 頂きます」

「ふん…」

――良かった、嫌われていなくて。
などと考えてしまうあたり、この男にほだされ、毒される日々はまだまだ続くのだろう。


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