「お尻上げて。俺のこと欲しがってる恥ずかしいとこ、明るい場所でよく見せて? 」

「っ、ふざけ…っ」

「ふざけてないですよ、俺は本気。だからナースさんも本気で欲しがって下さい」

その方が気持ちいいですよ?と甘く囁かれ、腹の奥がきゅんと疼き出す。見せるだけでいい。腰をやや浮かせて、狭間に渡された布地を少しだけずらせば。
今更羞恥も何も、と言いたいが。いつになっても、どうあっても恥ずかしいことは存在する。というかこの患者だって、こちらが恥ずかしがるとわかっていて、こんな下卑た要求をしてくるのだ。

「っ……」

シーツについた肘で体を支え、ゆっくりと両膝の間を広げていく。臀部を覆っていたスカートの裾が完全に腰上までずり上がり、柔らかな丸みが外気に触れると、羞恥で頭に血が押し寄せてきそうだ。
膝を突っ張って、腰をそうっと宙空へ浮き上がらせる。狭い布に押しくるめられ、くっきりと形取られた中心がびくびくと震える様も、食い込む狭間の紐さえ食むようにひくつく後孔も、その瞳は余すことなく見据えているのだろう。ぶるりと揺れた膝がシーツを擦る。

「――ほんと、えっちなナースさん」

「ぃ、ぁあっ…」

情欲の滲み切った声と共に、くい、とレースの紐を引かれて締め付けに喘ぐ。柔らかな尻を撫でながら、患者の荒い吐息が白雪の如き表面に触れた。

「っひ……っ、やめ……っ」

レースをずらして露になったそこへ、熱く濡れた感触が押し当たる。きゅっと閉じた入口をこじ開けようと、何度となく舌先が捩じ込まれて。濡れそぼった前はあやすように軽いタッチで撫でられ、抵抗しようにも体の力がかくんと抜けてしまう。

「い、やだ、それ……っ、やぁ……」

「ナースさん処女なんでしょ? ちゃんと気持ちよくなれるように、優しくしてあげないと」

設定故か、余計なお節介を焼かれている。潤され、綻びかけた場所にずぷずぷと遠慮なく埋め込まれる指。欲しかったものを惜しみ無く与えられ、喉の奥から押し出された嬌声を無理やり枕へと逃がした。

「ん、んぅ……っ」

「痛くないですか? こっち、とろとろになってるから使わせて下さいね」

湊が前を覆っていたレースをずり下ろせば、窮屈に押し込められていた中心がふるんと晒け出される。下着に糸を引いてしまうほど蜜にまみれていたせいか、晒した勢いでぽたぽたとシーツまで滴っていく。ふふ、と患者は雫を指先にすくい取って笑った。

「さっきぺろぺろしてあげたのに、こんなにしてたんですか? ナースさん、恥ずかしいの大好きなんですね」

「ち、がっ…、」

「後でまた、お尻ふりふりしてもらいますから。えっちなこと、いっぱい体に教えてあげますね。あーほら、中もきゅんきゅんさせちゃって…想像したの?」

「ん……ふっ、くぅ……っ」

卑猥な台詞を吹き込まれながら、豊潤な指が再び隘路を押し広げて挿入される。品の無い仕草で患者を誘った羞恥が甦り、迎え入れた指を反射的にきつく締め付けた。

「ふっ、うぁ……!」

不意に腹側の粘膜を指の腹で捏ねられ、連動して揺れた中心から快楽の証が新たに分泌される。

「ここ、やっぱり気持ちいいんですね。ナースさん感度良すぎない? ここも奥もちゅうちゅうって歓迎してくる」

「そ、な、んぁ……っ、あぁ……!」

抜き出された指が倍の質量になって内部へ戻ってくる。僅かに縁が痛んだものの、貪欲な粘膜がきゅうと指を掴んで離さない。

「痛くないですか? もうね、俺もあんまり我慢できないんだよね。後ろから見てるのほんとエロいんですよ、ガーターパンスト着けたふとももプルプルさせて、大事な所で俺の指おいしそうに頬張って、ちっちゃいお尻揺らしちゃって、かわいいのは涎垂らしてレースどろどろにしてさ。ね? すごいえっちでしょ」

「い、うなっ、あ、っ」

「ナースさんかわいー。おっ、こんなところに都合よくローションあるじゃないですか。用意しててくれたんだ」

用意も何も、普段睦み合っているベッドなのだから完備されていて当然だ。が、遥は既に反論する余裕もなく、とろつく指をぬぷりと捩じ込まれて喘ぐ他ない。

「ほら、ぐちゅぐちゅに掻き回されるの気持ちいいでしょー」

「うっ、あ、ぁ…っ」

決して細くはない指が二本も三本も内部で蠢いているのに、強制的に与えられているのは堪えきれないほどの快楽だけだ。痛みがほんの少しでもあれば、まだ理性を保っていられるのだが。引き抜かれた指がゆっくりと戻されていく感触にさえ身悶える。

「柔らかくなってきてますね。でも、ナースさんが内腿まで溢しちゃってるからパンスト透けてますよ?」

「る、さい……っ」

脚の間を滴り落ちたものが薄手のストッキングをも濡らし、うっすらと肌色を透過させている。舌舐めずりせんばかりの患者の視線を後方から感じ、遥は居心地悪そうにもぞもぞと体を丸めようとした、が。

「――ちょっと、乱暴にしますね」

「は……? っ、…」

所詮安物のコスプレグッズだ。白色ストッキングは爪を立てずとも、指先で簡単に引き千切られてしまった。ピリリ、と繊維を破る音を立てながら、患者は楕円の穴をそこかしこに空けていく。はぁ、と零れる息遣いが完全に犯罪者のそれだ。
思うままに裂いて満足したのか、ズタズタのパンストをうっとりと撫でて犯罪者は語る。

「うーわ、えっち。ほんとに乱暴されたみたいで興奮します」

「してるだろ」

「そうだけど、無理やりされたみたいでってことです。この破けたとこからちょこっと盛り上がってるふとももとか、たまんない」

露出した肌を指先でたどってから、こっちもさせて、と両手をシーツと遥の間に潜らせる。 Pコートのように留めたボタンを上から外し、大きく開いた胸元に手を差し入れた。

「ん、ぁっ……」

「ふふ。ナースさん、ぺったんこだけど敏感ですね」

くりくりと胸の尖りを転がされるのはいつもの愛撫だが、順番が異なるせいか、はたまたシチュエーション故か、衣装の下で既にぷくりと息づいている。

「後でここも舐めてあげますね」

「ひっ、ぁ……!」

きゅう、と周りごときつく抓られ、その痛みにさえ情けなく中心を震わせる。浮かせていた腰が落ちかけると、再び叱るように臀部を叩かれた。滲んだ涙の理由を、考えることを脳が拒否している。
耳に流し込まれる甘い声に、沸々と下腹部が煮え滾ったように熱くなった。

「ナースさんの欲しかったものあげますから、ちゃんとお尻上げたままにして」

「っん……!」

濡れてとろけた狭間へ、屹立の先端がわざとらしく擦り付けられる。唇で慰めてやったばかりなのに、硬く張りつめたそこは熱を存分に溜め込んでいるようだった。


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