「ん…っ、そうそう。でも抜いちゃだめな」

「ぁっ」

先端ギリギリのところで湊に腰を掴まれ、遥はその位置で動きを止める。ほんの先っぽだけを含んだ状態だ。ここから再び一気に湊を呑み込むのだと思うと、ぞくぞくと全身がわなないてしまう。

「じゃあ、そーっと腰を落としてみようか」

「んく……っ」

湊に体を預けるようにして、徐々に内側へ熱を戻していく。ひりつく熱さを十分に感じさせながら、狭い場所を押し開いて湊が埋め込まれる。荒く息をつぎながら遥はしがみつき、弱々しく首を振った。湊が小さく笑うのがわかる。

「限界?」

「ん…」

欲しい気持ちは逸れど、一度絶頂を味わっているので遥の体力ではとても追いつかない。ぎゅっと湊の頭を抱え込んでねだれば、背中を優しく撫でられた。

「よしよし。ごめんな、疲れさせて」

「あ…」

挿入したまま押し倒すようにして遥を寝かせると、汗ばんだ肌がしっとりと重なる。額に軽くキスを落とし、湊はゆっくりと腰を揺らした。

「っは、んん……!」

自分で動くのも悪くはないのだが、やっぱり湊にしてもらうほうが何倍も気持ちよく感じてしまう。遥はシーツを握りしめ、せり上がってくる快感に体を震わせた。

「あ…っ、や、だめ……」

覆い被さってきた湊がキスをするのかと思いきや、唇が触れたのは首筋。皮膚を強く吸われ、遥は慌てて湊の体を押した。

「見られ、る…っ、あぁ…っ」

「そうだな、明日学校だし見られちゃうかもな。でも俺を騙したお仕置きだよ。しばらくは、たっぷり可愛がられましたっていう体でいて」

楽しげに笑みを浮かべ、湊はさらに下のほうにもキスを落としていった。



「…結構な数だな」

その後。処理を兼ねた入浴を済ませ、再びベッドの中で生まれたままの姿を晒し合った二人だが、戯れの最中に湊がしげしげと遥を眺めて呟いた。あちこちに赤い痕が散った肌を、遥は毛布を引き上げて隠そうとする。

「お前のせいだろ…」

行為の後は理性が解かれ、甘えてくるのが普通なのだが、そこから時間が経つとだんだん羞恥が舞い戻ってくるらしく、遥は決して目を合わせようとはしない。今もそう、毛布で顔を半ば覆ってぼそぼそと話している。

「えー。もともとは、遥が俺を苛めたから…」

「……」

確かに事の発端は自分が原因であるものの、果たして"苛めた"のはどちらだろう。あれから意識が飛びかけるまで蹂躙され、腰はがくがく、声も枯れたというのに、この男は。
無言で睨みつけてくる遥に、そういえば、と湊が続けた。

「俺を焦らして夢中にさせたかったみたいだけど…遥、そんなに不安なのか? 俺がえっちしたいって毎日言ってても?」

「ん……」

こんな自分に四年も付き合っているのだから、湊は本気で好意を寄せてくれている。それはずっと前からわかっているし、普段から十分大事にされていると思う。けれども、湊が度々自分を求めてくれるように、相手を欲する気持ちなんてきりがないのだ。一を手に入れたら十が欲しくなるし、十を手に入れたら百が欲しくなる。二人とも、そんな人間なのだから。

「…ま、いつもと違うことをしてくれるっていうのは大切だよな」

答えに窮していた遥に笑いかけ、湊はぽんぽんと頭を撫でてくれた。

「ツンは今回十分味わったし、今度はデレってことで…大胆に誘ってくれたりすると嬉しいな?」

「なっ……だ、誰がっ」

白い頬があっという間に朱へ染まる。ぷいっと背を向ければ、すぐに後ろから温もりがやってきた。

「気が向いたら、ね。あ、俺もたまにはやってみようかな、遥を焦らすの。そしたら、我慢できなくなった遥が裸エプロンで待ってたり…ぐふっ」

肘打ちをお見舞いしてから、遥は毛布の中で縮こまる。ふっと想像してしまったのが恥ずかしくてたまらない。
湊は微笑み、愛おしげにその体を抱きしめた。


***
わぁ(゜゜)

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