そんな遥の様子に、湊もそろそろ余裕を削がれているのだろう。寝間着の上をばさりと脱ぎ捨て、遥に覆い被さってキスをする。ぬるぬると絡み合う舌の感触さえもが快感となり、痛いくらいに中心が張り詰めていく。

「ん、ふぅ……ぁ、あっ」

湊の手が布越しにそこを掴み、股間をやんわりと揉みしだいてくる。初めて与えられた直接的な愛撫に、がくがくとみっともなく膝が震えた。

「ぁ、んっ……、だめ…んぅっ」

キスの合間に限界を訴えてはみるが、手の動きは止まない。快感に震える舌をもちゅっと吸い上げられ、遥はあっさりと絶頂へ上り詰めてしまった。甘い吐息がこぼれると、湊がくすくすと笑って体を起こす。

「かわいー。もうイっちゃったんだ」

「うるさい…っ」

放ったものでじわじわと下着が濡れていく。ちょっと触れられただけでこんなふうになってしまう自分が恥ずかしくてたまらない。遥はぱっと顔を隠したが、湊に無理やり手首を掴まれて表情を露わにされた。

「っや……」

「ちゃんと見て。俺に抱かれてるんだって確かめてよ」

こんな状況で目を合わせるだけでも恥ずかしいのに、湊はどうして平然としていられるのか。再び唇を深く合わせれば、そんな考えも霧散していく。
器用な右手がパジャマのズボンを下着ごと脱がせると、蜜にまみれたそこが糸を引く。かぁっと頬を赤く染めた遥に、えっちだね?とわざとらしく囁いていくのだから湊は本当にSである。

「いっぱい出てる。気持ちよかった?」

「んっ、はぁ……っ」

するりと脚の間に滑り込んだ手が、濡れそぼった中心を優しく扱く。くちゅくちゅと濡れた音を立て、そこがまた熱を持ち始めた。

「ん……、遥も溜まってた?」

「ばっ…舐めるな…っ」

指ですくった蜜をぺろりと舐め、湊はからかうように尋ねる。しかし遥が憤慨すると、じゃあ、と意地の悪い顔でにんまり笑った。

「こっち、見せて?」

「っ、や……っ」

ぱかっと両脚を割られ、秘めた場所をじっくり眺められる。湊に見られていると思うとどうしても羞恥がこみ上げ、きゅっと力が入ってしまう。

「遥は淫乱だもんな。ほら、何もしてないのに溢れてる」

「んっ、ぁん…っ」

とろりと中心からこぼれた雫が皮膚を伝い落ち、やがて後孔を濡らす。そこへ湊の舌が這い、僅かにほころびた所をこじ開けようとしてくる。尖らせた舌でぬるぬると入口をほぐされ、湊に掴まれた太腿がびくりと痙攣した。

「ん…。ここ、ひくひくしてる。指、入れてあげようかな」

意識する前はそれほどでもなかったのに、いざ湊を受け入れる場所へ触れられると体の奥がずくずくと疼く。濡らされた入口が熱くて、すぐにでも質量を埋め込んでほしくてたまらない。ぷちゅ、と悪戯に差し込まれた指先を反射的に締めつけた。

「ほしいの? だめだよ、今日はたっぷり焦らすって言っただろ」

「あ……っ」

抜け出てしまった指先を追いかけようと、遥の腰が動く。だが、喪失感に震えるそこへ押しつけられたのは指ではなかった。

「んぁっ!」

「どう? たまらない?」

指なんかよりもずっと大きくて熱い塊が、入口をずりずりと擦っている。本能のままにそれを呑み込もうとするが、湊はわざと尻や太腿のほうに熱を逃がしていく。

「やぁ…っ、も、それ…っ」

あまりの疼きに頭がおかしくなってしまいそうだ。冷静に考えれば同じ男のものを欲しがるなんて恥知らずもいいところだが、あの熱で狭い場所をぐちゃぐちゃにかき混ぜられる快楽は忘れられない。それが愛しい人のものなら尚更だ。
起き上がって涙目で懇願する遥に微笑むと、湊は遥を跨がせて膝をつかせる。向き合った状態で遥が湊の肩に手を乗せれば、自然と湊の上に座る形で熱を受け入れる体勢になった。

「ふぁっ、だめ……んっ」

「慣らしてないけど、遥のここ…凄いね、入っちゃいそう」

濡れた入口に湊のものがあてがわれ、先端を僅かに沈ませてみる。すると、そこが柔らかく湊を迎え入れようと健気に広がっていくのだ。

「やだぁっ、も、はやく…、ぃれて…っ」

既に遥の我慢も限界なのか、後ろで感じる湊の質感にいてもたってもいられず、ぽろぽろと涙を流して訴えてくる。これを受け入れたらどれだけ満ち足りた気持ちになるか、今まで何度となく教え込まれてきたことだ。

「もー、泣くなよ。悪かったって」

「ひっく……ぅ…」

遥が湊を焦らしたのと同様に、湊だって遥をいじめたくなる時はあるのだ。普段はつんとした態度の遥が、こういう時だけは身も心も自分を素直に欲しがってくれる。そんなかわいらしい恋人の姿に、湊もつい、ごくりと唾を呑み込んだ。

「俺も遥が欲しいよ。俺のこといっぱいあげるから、遥のこともちょうだい」

「ひぁっ」

ぬぷ、と先端の太い部分が中を押し広げてくる。驚いたのも束の間、湊に支えられながらゆっくりと腰を下ろすと、徐々に内部へと姿を消していく。ずぶずぶと埋まっていく感覚に鳥肌が立ち、遥はぎゅっと湊にしがみついて快感をこらえた。

「っは…、きつ……」

震える粘膜を掻き分け、湊のものがじわじわと内部を押し広げる。体はまだ固いままだが、何度となく受け入れた熱は確かに刻まれていた。

「ぁあ……っ、あ、やっ」

しかしすぐに優しく腰を揺らされ、熱い楔をぎゅうっと内壁が包む。それが緩むと再び少しずつ突き入れられて、ぞくぞくと甘い刺激が腰の奥に響いた。

「っはぁ……遥、かわいい」

触れるだけの口づけを繰り返し、徐々に狭いそこを開いていく。全てを埋め込んだ頃には、ふるふると遥のそこが快感に打ち震えていた。

「入れただけなのに、またイきそう?」

「はぁん……っ」

熱を持つ高ぶりを手のひらに包まれ、遥はふるりと体を粟立たせた。

「遥も…中もびくびくしてる。動くよ?」

腰を支えられ、ずぷんと楔が抜き差しされる。内側を擦られるどうしようもない快楽に、遥は涙混じりに喘いだ。

「やあぁ……っ、そ、な、うごく……なっ」

「ここでお預けなんてそれこそ無理だろ。それとも、遥が動いてくれたりする?」

期待を込めた眼差しに見つめられ、遥はぶんぶんと髪を振りたくる。湊のものをくわえているだけでもびりびりと微電流のように快感がせめぎ合うのに、下手に動いたら羞恥も相まってあっという間に逐情してしまう。

「む、り……っ」

「えぇー。その声は恥ずかしがってるだけだろ? ほら。支えてあげるから、お尻上げて」

ここ数日、セックスを断り続けた時はこんなことを言わなかったのに。どうして今は胸の内を見抜いた挙げ句に急かしてくるのかと思う。それとも、嫌がっているふりをした自分の声がとてつもなく物欲しげだったのか。
促されるままに、遥は湊の肩を押すようにして体を起こす。曲げて床についた膝をゆっくりと伸ばせば、深々と埋まった湊が徐々に抜けていく。


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