・愛あるお仕置き。玩具注意 「へー、時短かぁ。最近は炊飯器でおかずも作れるんだな」 ソファに腰かけ、テレビショッピングの番組を眺めながら湊は感心したように頷く。テレビでは、一般女性が新型炊飯器をこれでもかというほど褒めちぎっていて少々嘘臭いが、誇張は通販番組には付き物である。 「出かける前に炊飯器セットして、帰ってきたらご飯もおかずもあったまってるなんていいなぁ。どうせ、ご飯作って待っててくれる人なんていないし」 苦笑を浮かべた後、手にした小さなリモコンのボタンを一段階上げる。と、向かいのソファでうずくまっていた体が大きく跳ねる。 「ふあぁ!」 今まではくぐもった小さな声しか聞こえなかったのに、すっかり女性の宣伝の声をかき消している。 「遥もそう思うよな? 脱いだ服を自動で洗濯機まで持ってってくれる機械とか、あったらよかったのに」 「はあ、あっ……あ、あ!」 四つん這いになるような形でソファに寝転んだ遥は、手首がまとめてくくられ、服はところどころはだけている。張りつめた性器の根元はきっちりと紐で戒めてあり、いつも湊をくわえこむそこからは低い振動音が鳴っていた。 「はいはい、弱くしたげるよ」 かちり、と湊はボタンを下にずらす。遥の甘い声が小さくはなったが、いつまたレベルを上げられるかわからない恐怖に体が震えた。 「は……やぁ、も……やめ…てぇ……っ」 「もうちょっとな」 涙声で訴える遥に、湊はにこりと笑顔を作って再びテレビに目を向けてしまう。 「あー、でも」 最新型の電化製品が次々に紹介されていく中、湊はくすりと笑った。 「淫乱でドMな遥には、焦らされるのも快感? お仕置きにならないな」 「ち、がっ……もぅ、やだぁ……!」 湊自身よりは明らかに小さなものだが、無機物に犯されているなんて大きさ以前の問題だ。しかもその操作は湊が持つリモコンで行われ、さっきからちょくちょくレベルを変えて責めてくる。何度か達しそうになっても、根元に巻きついた紐が射精を許してくれない。絶頂寸前の凄まじい快楽はもはや拷問に近かった。 「遥が悪い子だからだろ。洗濯物はまとめて出してって言ってるのに、しょっちゅう出し忘れてさ。洗濯機回すのにも金はかかってるんだぞ?」 だったらまだ自腹でコインランドリーに行かされたほうがましだったのにと遥は唇を噛むが、睨んだのを見越したかのように湊はリモコンをいじった。 「ひあぁんっ」 ぶるぶると強く震えた物体が弱い場所に当たる。なおも弱められることなく、そこを突かれた遥はソファの上でもがいた。 「やあっ、はあぁ! あっ、んぁ……ふぅ!」 開いた唇からは甘い吐息ばかりがこぼれ、生理的な涙で視界がじわっと滲む。何の温もりもないまま後ろを犯され続けられるのがだんだんと怖くなってくる。 「やめ……っひぅ、も、ぬいて、ぇ……っ」 しとどに濡れたソファの座面に自身を擦り付けて刺激を逃れようとしても、結局は戒められたそこが熱を持ってしまう。気を抜けばすぐにでも遠い絶頂へ連れていかれそうで、遥は必死で湊を呼んだ。 「やだ、これっ、ぇ……あぁんっ、やなの……っ、みな、とっ」 「しょうがないな」 名前を呼ばれて悪い気などしない。遥がこうして湊を呼ぶのはとても貴重なのだから。 スイッチを切られ、中のものの振動が止まる。腰を上げた湊がゆっくりと歩み寄ってきた。 「あーあ、こんなエロい顔しちゃって」 「ひぅ……っ」 涙や少々の涎で汚れた顔をハンカチで拭い、湊はそっと遥の髪を撫でる。やっと許された、と心から安堵がこみ上げ、遥はまたぽろぽろと泣き始めた。 「泣かれるともっと苛めたくなるんだけどなぁ。遥、反省した?」 「し、たぁ……」 「今度から、服はどうするの?」 「かごに、いれる……」 素直に答えを寄こした遥の瞳は既にとろんとしており、はだけた服の隙間から見える肌は仄かに桜色をしていた。 「いい子になったね。それじゃ」 「やあっ、なんで……っ」 ひとしきり頭を撫でてソファから離れるふりをした湊に、遥のすがるような視線が向けられる。 「はずして、これっ……」 「外す? いっぱいあるけどどれのこと?」 「これ…っ」 腕を振ってみせられ、湊はソファのそばにしゃがんで手首の紐を解いてやった。自由になるや否や、遥は即座に自身へ手を伸ばす。ぱしり、と湊がその手を叩いた。 「許してあげようと思ったけど、まだ悪い子だったみたいだな」 さっきまでとは打って変わって冷たい声に、遥はびくりと体をこわばらせる。まだ中に入っている物体の存在に気づいた時にはもう遅かった。 「あっあぁ! ごめっ……ごめ、……なさ…ぃっ」 鈍い振動音を立てて容赦なく刺激を与えてくる物体に、がくがくと下肢が跳ねる。慌てて謝罪を口にすると、その動きが緩やかなものに変わった。 「遥は本当はいい子だもんな? ちゃんと謝ったら、俺だってお願い聞いてあげるよ」 優しい声の後、頬にちゅっと口づけが落とされる。こんな真似をされているのに、甘いキスひとつで胸の中が温かくなってしまうなんてずるい。 「ごめん、なさぃ……」 「これからはいい子にできる?」 遥が何度も頷くと、湊はゆっくり唇を重ねてくる。理性が飛んでいるせいもあってか、遥も積極的に舌を絡めて応えた。 「んっん……ふ、ぅ…」 くちゅ、と音を立てて湊の舌が口腔を探る。何もかも奪われてしまうようなキスでも、無機物に蹂躙されていた体にとっては心地よく感じられる。もっと、と言うように、自由になった両手を湊の首へまわした。 「ん……ほんとだ。いい子」 湊も微笑み、きつく締められた遥自身の紐をほどいてやる。途端にとろとろと蜜が溢れ出し、遥は小さく啼いた。 「いっぱい我慢したからな。こっちも抜く?」 「ん……っ」 こっち、と後孔に繋がれたコードを軽く引っ張って尋ねれば、遥はこくこくと茶色の頭を振る。 「じゃあ、ちゃんとこっちにお尻向けて? そうそう」 「ふぅ……っ」 湊に言われるがまま正座をして前方に両手をつき、挙げ句に腰を上げた格好を取らされ、遥は耳まで真っ赤に染まった。 「はぁ……っ!」 湊がコードを引き、遥の体温と同じ温かさになったそれがぬるりと抜き出される。早く取り去ってほしいのに、湊は焦らすように楕円形のそれを入口付近で弄ぶ。ふるりと遥が腰を揺らして催促した。 「ちょっとくらい待ってろって。この角度、凄くやらしくて絶景なんだけど。遥のかわいいところが一生懸命これをくわえてて」 「やあぁ……っ」 聞きたくない、と首を振るとあっさり玩具は抜かれる。湊はくすりと笑ってソファを下りた。 「え……?」 「ん、何? 終わりだけど?」 さて夕飯作らなきゃ、などと湊は言い、何事もなかったかのようにテーブルの上を布巾で拭き始める。遥は困惑するばかりだ。 何せ縛られていたせいで一度も達しておらず、体の熱はまだくすぶっている。ここで放っておかれたらそれこそおかしくなってしまいそうだ。 「どうかした?」 確信犯の笑みを向けられ、遥はきつく唇を噛んだ。悔しいのに、いたたまれないのに、湊の声や表情に、ずくりと体の奥が疼いてしまう。それはもう、隠しようもない事実で。 ごくんと唾を呑み込んだ遥は、羞恥を押し込めてさっきと同じ格好をする。晒したその場所が外気に触れ、頬が燃えるように熱くなった。 「それで?」 湊に顔を覗き込まれ、耳元で低い声が放たれる。それだけで頭の芯がくらくらと揺れた。 「し、して……」 「何を?」 今度は熱い吐息を吹き込まれる。儚い理性がとろとろに溶かされていった。 「お……おしお、き……っ」 ふっ、と湊が口元を緩める。その瞳には慈愛と嗜虐の色が滲んでいた。 「遥はやっぱり悪い子だな」 本当の躾はまだまだこれから。 熟れた果実のような唇に貪りつきながら、湊は遥の華奢な体を組み敷いた。 *** まぁたまにはこんなのも必要さ!というわけで。何だかんだで遥はお仕置きされるの大好きですから(´ω`) ↑main ×
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