水色の生地を体の真ん中に寄せれば、淡い桃色の乳首が現れる。あまりの羞恥にぱくぱくと声にならない悲鳴を上げるかりんをよそに、凌也は身を屈めた。

「は……ぅん……っ」

生温かい舌がぺろりと表面を撫で、反応し始めたそこに吸いつく。もう片方の尖りは指の腹で揉み込むようにされて、ずくんと下腹部が重たくなった。

「ん……ぁ、あ……っ」

ところどころ寝癖のついた凌也の髪を引っ張ると、指先にきゅっと力をこめられる。かと思えば立たせるようにすりすりと擦られて、緩急をつけた愛撫に無意識に腰が揺れてしまった。

「着替えたばかりなのに汚すのも困るだろう」

「ぁ、や……っ」

ボトムのウエストを緩め、下着と一緒に押し下げられる。片手で器用に下衣を脱がせると、緩く反応した花芯を手のひらで包んできた。

「ん、やぁ……っ、だ、ダメです、から……っ」

外からの鳥の声でふと我に返る。今はまだ朝なのだ。なのにこんな、淫靡な行為に耽ってはいけない。理性を必死に取り戻そうとしても、優しい愛撫にとろとろと溶かされてしまう。

「別に構わない。これが新婚のつとめらしいからな」

(だから違いますって!)

しれっと言ってのけた凌也は体の位置を動かし、かりんの両膝を持って開かせる。かりんは思わず両腕で顔を覆った。

「やあぁ……っ、みないで、こんな……あかるい、っ」

かりんがこうした行為をする際、朝や昼を避けたがる理由は簡単だ。明るい場所で凌也に肌を晒すことが未だに恥ずかしいから。少し意地悪だったかと凌也は思ったが、目の前の光景を改めて見ればそんな後悔は吹っ飛んだ。
腕の間から見える、生理的な涙を浮かべ、頬を真っ赤に染めた愛らしい顔。インナーは袖を通してあるだけで、中央に寄せたエプロンのおかげで二つの尖りが覗く。片方は唾液に濡れ、もう片方はぷくりと存在を主張している。加えて、とろりと先走りをこぼした自身はエプロンの生地を押し上げていた。
愛する恋人の卑猥な姿に、思わずこくりと喉が鳴る。

「エプロンを何故着せたままにするかがわかった気がする」

「は、い……っ? あっ、ぁ……っ」

柔らかい太腿を押さえつけ、エプロンの生地をはらりとめくる。ひくひくと震える花芯は蜜に濡れ、まるで凌也を誘っているようで。

「ひゃうっ! やぁ、だめ……ぇっ」

根元から舐め上げ、先端を舌先でつつくとびくんっとかりんの腰が跳ねる。張り詰めたそれに指を絡め、ゆっくり扱きながらかりんに忠告を告げた。

「あまり大きな声だと成島に聞こえるぞ」

「ぁ、やだっ……んぅ!」

すぐ隣の部屋には他でもない佳奈子が住んでいる。壁はそこまで薄くないだろうが、こんな声は意地でも聞かれたくない。かりんは急いで口を手で覆った。

「んっ、んぅ! ふ……ぁ、それ、きたな……んっ」

「お前のなら汚くない」

深いところまでくわえ、唇をすぼめて吸ってやる。あやすように根元の膨らみを転がしながら、ちゅぷちゅぷと音を立てて出し入れした。

「んんぅ! ふっ、んん……も、だめ……んぁっ」

ぞくぞくと微電流が走ったみたいに背筋が痺れ、くわえられた場所がこれでもかというほど熱くなる。迫りくる絶頂感に、かりんはぐいぐいと凌也の髪を引っ張るが、依然愛撫は止まない。

「このまま出していい」

情欲に満ちた低い声に、腰がずくりと甘く震える。すぐに自身の先端をちゅうっと吸われて、押さえこんでいた熱がついに爆ぜた。

「あっ、ぁああっ!」

びくびくと腰が震える中、最後まで出し切るように凌也はそこを扱いてくる。長く続く絶頂に、かりんは甘い吐息をこぼした。

「はぁ……っ、は……やだ、って、言ったのにっ……」

吐き出されたものをこくりと呑み込み、凌也は顔を上げる。かりんの瞳には涙が浮かべられ、枕のカバーへと伝い落ちた。

「嫌だったのか?」

無駄にじっくり読んだ佳奈子の本の内容を反芻しつつ、凌也は尋ねる。するとかりんは困ったようにきゅっと眉を寄せた。

「い、やじゃ……ないですけど…」

恥ずかしいんです、と頬を真っ赤に火照らせて言われれば、さすがの凌也もそろそろ欲に抗うのは難しい。だが何とかこらえ、ぷっくりと熱を持ったかりんの唇へキスを落とした。

「かわいかったぞ。それからやけに気持ちがよさそうだからいいかと思──」

「ああああ! も、もう言わなくていいですっ」

恥ずかしいと言っているのに、何故追い打ちをかけてくるのか。それが確信犯ならまだしも、凌也は無自覚だからいくら憤慨しても直らないのだ。と、突然口元に凌也の指先がずいっと突きつけられる。かりんは首を捻った。

「えっと……?」

「舐めて」

「……はい?」

凌也の指示の意味が全くわからず、かりんは更に問い返す。しかし凌也は答えを返さずに指で唇をなぞった。
仕方なくかりんは隙間から舌を覗かせ、長くて形のいい指にゆっくりと這わせていく。人差し指と中指を舐めていると、凌也がじっとこっちを見つめていることに気づいた。

「ふ……みな、で……ください……んっ」

二本の指先が口内に滑り込み、上顎の敏感な部分に触れる。思わず指に歯を立ててしまい、かりんは慌てて凌也を見た。

「いい。気にするな」

「ふぁい……んぅ……っ」

指に舌を絡めるようにして唾液を塗り付けていると、達したばかりの花芯がじくじくと疼き始める。さっき、凌也がそこを慰めていた時みたいだと錯覚してしまったせいか。

「んっ……む………ぁっ」

不意に指が抜かれ、唾液を纏ったそれが下がる。そして狭間をぬるりと撫でられて、かりんは腰を跳ねさせた。

「やっ……なんで、ん……っ」

「濡れていないと痛いだろう」

(ああもう訊いた僕が馬鹿でしたっ)

そんな真面目な顔でさらりととんでもないことを吐かれれば、質問したこっちが逆に恥ずかしい思いをする。

「お前は口の中も弱いな」

「そ、んな……んぅ」

重ねた唇の隙間から舌が入り込み、さっきの指と同じく口腔を探ってくる。舌を絡めながら後孔にもつぷりと指が入り込み、入口をほぐすように浅く抜き差しをされた。

「んっ、ふ……ぅ、んん……」

口の中も弱い、との言葉通り、歯列をなぞり、舌を吸われると背筋がぞくりと痺れる。指をくわえたそこもきゅっと締めつけてしまった。

「んむ……ぅ、んっ……はぁ……」

舌が抜かれた頃には体の力も抜け、見計らったかのように指が奥まで侵入してくる。それを抜かれる際に浅い場所をこりっと掠められ、押さえられた太腿がふるりと揺れた。

「ふぁっ……あ、やだっ……せんぱ、それ……んんっ!」

かりんの反応に気づいたのか、凌也はゆっくりとその場所をこねてくる。さっき達した自身は今の刺激ですっかり張りつめた。

「はぅ……だめ、ですっ……ん、あっぁ……っ」

「お前だって気持ちいいほうがいいだろう?」

決して意地悪で口にしているのではなく、凌也は単にそう思ったから告げたまでだ。しかしかりんにしてみればいたずらに言葉で責められているようにも聞こえ、体がいっそう火照ってしまった。

「やだぁ……あっ、ふやさな……ぁっ」

二本目の指が、中を傷つけないようにそっと入ってくる。
凌也としては、これまで散々かりんの痴態を見せられ淫らな嬌声を聞かされてきたので、本当はすぐにでも欲望を突き入れてしまいたい。しかしそれではかりんの負担が増えるばかりで、自分だけが快楽を得ても何の意味もないのだ。


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