「はっ、あぁ、それ……っぇ、やだぁ……っ」

「でも感じるだろ?」

本格的に痛みを感じない程度につついたり、挟んだり、弾いたりして小さな粒を弄ぶ。遥はいやいやとかぶりを振りながらも、その行動とは裏腹に花芯から蜜をこぼしていた。

「もっ……ぃたい、から……っ」

「痛い? あぁ、感じすぎて?」

ずっと弄られ続けたそこは熱を持ち、少し触れられるだけでもじんじんと痛む。ぽってりと赤く充血した乳首を眺めて、湊はやっと頷いた。

「わかったよ。やめるから」

その言葉にほっとしたのも束の間、湊の手元から聞き覚えのある音がする。これはそう、今朝聞いたものだ。

「やぁっ、なんで……っ」

「ん? 俺が間違って触らないようにだろ」

新たなテープを引き出し、カッター部分で切る。その四枚を再び遥の乳首に貼りつけ、湊はふぅと息をついた。

「乳首立ってると貼りにくいな。最初は絆創膏にしようと思ったけど、あれって真ん中の白いとこはくっつかないし」

などとぶつぶつ言いながら、遥の眼鏡を外す。遥は慌ててそのテープを剥がそうとした。

「何? やっぱり触ってほしいの?」

「違う! もう貼るな!」

どうせまた、剥がす段階で散々いじめられるのだ。そんなことをさせるくらいなら、今自分で剥がしたほうがましだった。

「だめ」

両手を押さえつけられ、遥はじたばたともがいてみせる。と、湊はゆっくりと遥の瞳を覗き込んできた。

「お仕置きされたいなら、言うこと聞かなくてもいいけど?」

お仕置きという単語に、ぞくりと背筋に冷たいものが流れる。洗濯物を出し忘れた、門限を破ったなどの理由で何度となく行われたそれは、予想を遥かに上回るようなものだった。目隠しをされたり、怪しげな機械を突っ込まれたり。
それらをこわいと思うのに、何故か体はじわりと火照ってくる。遥はぶんぶんと首を振った。

「ちゃんといい子にしてれば、正攻法で気持ちよくしてあげるよ」

ちゅっと額に落とされた唇は、すぐに遥の口へ下りてくる。唇をぺろりと舐め、湊は隙間から舌を差し入れてきた。

「ん、んぅ……っ」

歯列を割って口腔を探られると、ぞくぞくと頭の芯が痺れる。舌同士が絡み合い、吸い上げられては絡め取られた。

「ふ………ん、はっ」

くちゅ、と唾液が混ざる音が恥ずかしくて舌を引っ込めても、結局は湊のそれに捕らえられる。口を離して舌先だけをちろちろと舐められ、それだけでも自身が反応してしまった。

(じんじんする……っ)

テープの下で熱を持った乳首が疼き、触ってほしいと本能が訴えかけてくる。しかしさっきあれだけ強く湊に言ってしまったのだから、しばらくは触れられないかもしれない。

「まずはここ、何とかしてあげないとな」

既に先走りをこぼしている自身を見やり、湊は遥の下衣を脱がしていく。床に膝をついて屈み、ふるりと震える花芯の先端にちゅっと口づけた。

「ぁんっ」

敏感になっている体はその刺激だけでも官能を揺さぶってくる。根元からつうっと舌で表面を撫でられて、新たな蜜が先端に滲んだ。湊はそれを舐めとり、感じやすい裏筋や膨らみを舌で抉ってきた。

「あっあぁ、はっ……んぅ、あっ」

湊の黒髪に手を差し込み、時折快感をこらえるようにきゅっと引っ張る。すると先端をじゅっと強く吸われた。

「いいよ、いっぱい感じて。もう出ちゃうだろ?」

「やっ、でる……っ、も、あぅ……っ」

飴を舐め溶かすような執拗な愛撫に、びくびくと腰が揺れてしまう。その上、内腿をするりと撫で上げられてはかなわない。迫り来る絶頂感に、遥はきつく目を閉じた。

「あっ、やあぁ、もっ……でちゃ、あっああぁ!」

湊に押さえられた膝がぶるぶると大きく震える。湊の口の中に熱を吐き出すと、こくりと呑み込む音が生々しく聞こえた。
はぁはぁと荒く息をする遥に笑みを見せ、湊は耳元で囁いてくる。

「ご馳走様。濃いけど自分でしてなかったの?」

「ばっ……!」

湊の思いがけない言葉に、瞬時に耳までが赤らむ。湊は更に意地悪く問いかけた。

「最後に俺としたの、二週間は前だよな? まさかそれから一回もってことはないだろ?」

「そ、そな……っ」

そんなことないと言いたいのに、図星を突かれては思うように口が動いてくれない。たとえ嘘をついたとしても湊は簡単に見破るのだから、こうもあからさまな反応では一目瞭然だろう。

「へー、遥もたまにはそんなことするんだ? 思いつきで言っただけなのに当たっちゃったなー」

もともと性には淡泊だったはずなのに、湊に抱かれてからは定期的にそういった行為をしないとどうも体がおかしい。自慰行為には慣れていなかったが、最近は徐々に回数が増えているような気さえする。

「で? いつしたの?」

「い、いえるわけっ……」

何故わざわざそんな恥ずかしいことを湊に報告しなければならないのか。遥はさっと顔を背けたが、突然の刺激にびくんと体を震わせた。

「あっ、ぁ……!」

「やっぱ気持ちいい?」

テープの上から、湊の指がくにくにと乳首を揉み込んでくる。間接的な刺激がもどかしいと思うと、きゅっと指先に力をこめられた。

「ね。ちゃんと言えたら、好きなだけここいじってあげるから」

「っふ、あぅ」

甘い吐息をこぼす遥に、麻薬のような言葉が吹き込まれる。湊の低い声が頭の芯をとろりと溶かしてしまうのだ。

「遥は乳首大好きだもんな。ほら、かわいいのがまたぴくぴくしてる」

「やだぁ……っ」

ぴんっと乳首を弾いてから、さっき達したばかりのものに視線をやる。胸に触れられるたびにそこが頭をもたげていく様子を、湊は楽しげに眺めていた。
恥ずかしいと思えば思うほど体が敏感になっていくような感覚がする。体は素直に快感を享受し、甘い声や蜜となって湊を喜ばせる。ずくずくと疼く熱が許容量を超え、遥は舌足らずな言葉を漏らした。

「ぁ……ず、っとまえ、ぇ……っ」

「それじゃわかんない。何日前?」

尋ねている間も指で乳首を持ち上げるように動かされ、遥はぎゅっと爪先を丸める。

「げ、つよぅ……っあぁ」

「っていうと五日前か。どこでしてたの?」

依然続く質問に文句を唱えたくても、口をついて出てくるのは喘ぎばかりだ。ならばと唇を噛むと途端に指が離れてしまい、刺激欲しさにべったりとねだる声を上げる。

「やぁ、なんでぇ……っ」

「どこでしたのか気になるんだって。答えたらまた触ってあげる」

悪魔の甘い誘惑が鼓膜に響き、熱を持つ花芯を痛いほど押し上げてくる。こうなれば、遥が陥落するのはもう目前のことだ。


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