*ひたすらに乳首責め。というかテープ責め。遥がかなりM


玄関の鍵を開けて家に入った遥は、靴を脱いでそろりそろりと廊下を忍び足で進む。徒歩で帰宅したせいで汗ばんだ肌をハンカチで拭いつつ、自室へ逃げようとしたその時。

「お帰り」

道を塞ぐようにして立っていたのは湊だ。にっこりと微笑んだその表情に、遥はがくりと肩を落とす。湊はリビングにいるだろうと予想して、物音を立てないように逃げるつもりだったのに。

「ここで待ってれば、遥は絶対に通ると思ってさ。さて、捕まえたことだしあっちに行こうか」

遥の考えなど最初からお見通しのようで、湊は機嫌よく遥の手を引く。服の中のとある違和感に、遥はきゅっと唇を噛んだ。

たどり着いたのは無論湊の部屋だ。有無を言わさず遥をベッドに座らせ、彼が羽織っていた薄い上掛けをはらりとシーツに落とす。遥は何かをこらえるように目をつむり、弱々しい声で待ったをかけた。

「や、やめろ。こんな……こんなの、しなくたって……っ」

「だめ。こうやってちゃんとチェックしないと、言う通りにしないだろ? 今度は大学の時も抜き打ちでやろうかな」

楽しげに笑う湊とは対照的に、遥は困ったように湊を睨むばかり。ここで強く反論しては、もっと酷いことをされてしまう。
湊の手がシャツのボタンをゆっくりと外していく。次いで袷を開かれ、遥の頬が羞恥で真っ赤に染まった。

「いい子だね。外してないみたいだし」

満足げな湊の視線は胸元に注がれている。上半身の白い肌の中で唯一、淡く色づいた両方の突起には透明なセロハンテープが×印を描くように貼りつけられてあった。そんな卑猥な光景を直視できるわけもなく、遥はシーツを握りしめて目を逸らしている。

「こんな……やる必要なんか、ないだろっ」

人前で肌を晒す機会なんて通常ではまずありえないが、誰かに知られたらと思うと気が気でない。しょうがないじゃん、と湊はそこを眺めながら告げた。

「こういう薄いシャツばっかり着るのが悪いの。服が擦れただけで感じるのに、透けて見えたら恥ずかしいだろ?」

「だ、だからって……ここまですること…」

そんな敏感な体にしたのは紛れもなく湊なのに、自分が羞恥を負うのはどう考えてもおかしい。湊の言うことは嘘ではない(遥にしてみれば信じたくもない)が、こちらにとってはいい迷惑だ。そもそも上掛けを着ていれば何の問題もない。

「これなら、もし遥が浮気したくてもできないだろうし。それに好きだろ? 羞恥プレイ」

「好きじゃないっ!」

Sな湊が好き勝手に弄るから、体がおかしくなっているだけだ。そう、決して自分にそんな気があるわけではない。

「じゃ、遥がドMじゃないことを証明するためにも続けようか。とりあえず剥がすよ?」

剥がしやすいよう、テープの左上部分は少し折り返して粘着面をくっつけてある。そこをつまみ、湊はそっとテープを引っ張っていく。

「ん………っ」

貼りついていた周りの皮膚がテープに持っていかれる。ぴりっとした痛みを感じていると、ついに色づいたところへ到達した。

「は……ぁ………んっ」

乳輪のふちを持ち上げられたかと思うと、膨れた部分もテープに引っ張られる。表面はぴりぴりしているはずなのに、痛みを感じればきゅんと快感に変わってしまう。早く終わらせてほしいのに、湊は殊更ゆっくりとテープを剥がした。

「や……も、はやく……あうぅ」

早く、と急かしたせいで、湊は強くテープを剥いでしまう。既に尖りきった先端が現れると同時に、びりっと電気が走ったような痛みと快楽がそこに流れた。

「ん……ぁ、は……っ」

最後まで剥がされても尚、ちりちりとした僅かな痛みは消えない。なのに湊は、せっかく剥がしたテープを再び強く押しつけてくる。

「やっ、なんで……あぁ!」

「昔、銀のスクラッチ剥がす時ってこうやったよな」

ぺたりと貼っては、ぺりっと剥がし。それを何度となく繰り返され、痛みと快楽が交互に訪れる。既にぷくりと立ち上がった乳首にはうまくテープが貼りつかないが、その分先端を集中的に責められることになった。

「遥、気持ちいいの? こっちももう反応してる」

「んぁっ!」

ボトムの上から足の間をぐっと押され、こぼれた先走りが下着を濡らしたのがわかる。ひくひくと頭をもたげたそこは、乳首を弄られるたびにぷるりと震えた。

「かわいいな。ここ、ちょっと触られただけで──あ、違うか。まだ指では触ってないもんな」

「は、ぁ……ふ……っぅ、るさぃ……ひぁ!」

テープのギザギザした部分が、ざらりと乳首の先端をなぞる。痛いのか気持ちいいのか、もう遥にはわからなかった。
そうだ、と何かを思いついたらしい湊はテープを細長くなるように折っていく。そしてそれを摘んで、先の尖ったところで乳首をつついてやった。

「はうぅ!」

ちくりとした痛みの後に、疼くような快感が背筋を走り抜ける。尖ったものでつつかれればと痛いのが当然なのに、それがたまらなく気持ちよくて。

「んっ、は……っあ、あぁ……っ」

「遥って、本当にえっちな体してるな。こっちもとろとろになってる」

ウエストの部分から湊の手が潜り、濡れそぼった遥自身を露わにされる。そこはほとんど触れられていないにもかかわらず、あと数回扱かれたら簡単に達してしまいそうだった。

「さて……ここはどうしてほしい?」

まだテープが貼られた、もう片方の乳首を指差して湊は尋ねる。

「剥がす? 貼っとく? ほら、答えて」

「や、ぁ……も、やだ……んぅ!」

つん、とテープでつついて催促され、遥の瞳から生理的な涙がこぼれ落ちた。

「言わないとやめちゃうよ?」

湊は意地の悪い笑みを浮かべ、焦らす言葉を耳元で囁く。遥が羞恥をこらえようと唇を噛んでも、湊は何も言わない。ただ目線で促してくる。
剥がすか剥がさないか。答えはとっくに決まっている。こんなものを貼りっぱなしにするなんて耐えられないではないか。

「は……がせ……っ」

震える唇をどうにか動かせば、湊の指がテープの端を摘んだ。
けれど。

「は……ぅっ、んん……!」

この刺激はもう、さっき嫌というほど体に刻まれた。だからこそ、体が変に身構えてしまう。認めたくなくても、認めざるを得ない。それは、期待だと。

「あれ? もう立たせてる」

「やぁ……んっ、いうな……っ」

テープを半分ほど剥がしたあたりで、乳首がぷるっと尖ってくる。湊はくすくすと小さく笑った。

「気持ちよくて、癖になりそう?」

「はあぁ!」

さっきの細長いテープで先をつんつんと刺され、再び痛みと快楽がせめぎ合う。その間に湊はテープを剥がし終え、手の中でぐしゃぐしゃに丸めた。


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