「んん……」 不意に寝苦しさを覚え、遥はゆっくりと覚醒する。もうそろそろ朝だと、目をつむっていても周りの音や光が伝えてくるが、遥は一向に起きる気配を見せない。何せ今日は休日だ、昼まで寝ていたって構わないはず。寝直そう、と再び意識を楽にしたものの、下肢をするりと撫でられた気がして思わず声が漏れた。 「ぁっ……んっ」 もしや、自分はまだ夢の中なのだろうか。時たま見る、湊との情交に耽る夢が訪れているのかもしれない。 しかし、肌を撫でるひやりとした空気の感触は本物だ。不思議に思った遥はようやく瞼を持ち上げ、眼前に広がった光景を認識するなり目を大きく見開いた。 「な……っ」 「あ、おはよ」 湊は爽やかな朝らしくにこりと笑顔を見せたが、遥にとってはそんなことを気にする余裕などない。今の状況をさっさと説明してほしいのだ。 「ふざけるな! どういうつもりだっ」 あられもない姿とはこういうものを言うのだろう。 パジャマ代わりのTシャツは首元まで捲られ、ハーフパンツと下着は左脚の途中にわだかまっている。つまり、肌のほとんどが露出した状態なのだ。その上に、湊が覆い被さっている。 怒る遥を前に全く悪びれた様子もなく、湊は苦笑してみせた。 「ごめんごめん。起きて遥の寝顔見たら、なんかムラムラしちゃってさー。ほら、朝だし?」 「知るか! とっとと出て行けっ」 脚をばたつかせてみるが、すぐに湊の手が押さえつけてくる。さらに、太腿を掴まれたままぐいっと脚を開かされ、遥の頬がかぁっと赤く染まった。 「や……っ」 隠すものもなく湊にじっと見つめられ、あまりの羞恥に頭がくらくらした。 「わかるだろ? さっき寝てた時も、かわいい声出して感じてたよ?」 「ぅあ……っ」 反応し始めている自身を、根元からべろりと舐め上げられる。ずきずきと中心が痛むほどの快感を覚え、腰の奥が甘くとろけそうになる。押さえられた太腿が、びくびくとシーツの上で跳ねた。 「あんっ、あ、ぁあ……っ」 先端の窪みをぐりぐりと舌先で抉られると、そこから透明な蜜が滴り落ちる。湊はそれを追って舐め取りながら、長い指を自身に絡ませて扱き上げた。寝起き故になかなか体に力が入らず、遥は抵抗するどころか甘い吐息をこぼすことしかできない。 「はぁ、あっ、んぅぅ……っ」 ちゅくちゅくと唾液や先走りが絡まり合った音が部屋に響き、余計に快感を増幅させる。湊は口元を拭い、小さく笑った。 「気持ちいい? 腰揺れてるよ、遥」 「そ、なわけっ……あぁあっ」 なんの前振りもなしに、湊の指がつぷりと後孔に潜り込む。仰け反ってずり上がった遥の体を引き戻し、湊は自身に目を落として微笑んだ。 「かわいいな。遥のここ、ぴくぴくしてイきそうになってる。中も、全然力が入ってないから柔らかいよ」 「んあぁっ、そ、なっ……やっ、うごかす、な……ぁっ」 余計な力が込められていないのをいいことに、湊の指が内壁をぐちゃぐちゃに掻き回していく。徐々に指を増やされつつ抜き差しをされれば、絶頂感があっという間に迫ってくる。なのに、いざ達しそうになると湊は愛撫の手を弱めてしまう。 「だめ。俺だって我慢してるんだから、一緒にイこうね」 一通りほぐし終えたところで、湊も自らのウエストを緩めて猛った自身を取り出す。いつもながら、これを受け入れるのかと思うと不安と期待で背筋がぞくぞくした。 「脚上げてるのはつらいだろうから、後ろからしてあげる」 ころりと体を反転させられ、遥はきゅっと枕を抱える。この体勢で腰を持ち上げられるのは未だに恥ずかしくて仕方ないのだが、今はそれさえもが快感にすり替わり、湊と繋がるところがひくひくとわなないている。 「ぁ、あ……っ」 軽く擦り付けるようにして熱い質量を押し当てられ、遥の体がびくっと反応する。湊の手が狭間を割り開き、そのままゆっくりとそれを収めていく。既に濡れそぼった遥自身が、シーツにぽたぽたと蜜を滴らせた。 「はあぁ、あっ……あ、んん……っ」 「ん……さっきは力抜けてたのに、入れると締めつけてくれるんだ?」 根元まで内部に収めると同時に、湊が意地悪く尋ねる。その言葉にさえ反応し、内壁がきゅっと健気に絡みついた。 「朝からこんなやらしいことして、罰当たりそう」 「ひぁ……っ」 湊は苦笑混じりに呟くと遥の細腰を両手で掴み、繋がりをそっと揺すり上げる。中で少し擦れただけでも遥は甘い声を上げ、もっともっとと求めるように湊を締めつけた。 「こんなんじゃ足りない、かな?」 「んあぁっ」 中程まで引き抜いてから一気に楔を打ち込むと、大げさなくらいに遥の体が跳ねる。頭の中まで掻き回されているような感覚に、だんだんと何も考えられなくなっていく。 「ぁんっ、あっ、あう……っ!」 乾いた音と濡れた音が交互に混じり合い、鼓膜からも犯されていく。打ちつけられる熱をその身に受け止めながら、遥は枕にしがみついて快感をこらえた。 「後ろからされるの、好きだろ? ちゃんと奥まで突いてあげるから」 「ふぁあ……っ」 熱を持った楔が埋め込まれ、奥のほうを先端でかき混ぜるように動かされる。その上、湊の片手が気まぐれに自身を掴んだ。 「ここもとろとろにして…シーツに擦りつけてただろ。遥こそ欲求不満だったんじゃないのか?」 「ち、ちがぅ……ああっ!」 再び腰を掴まれ、湊はさっきより早いペースで突き上げてくる。感じやすいところを狙って、がつがつと腰を叩きつけられた。 「はあぁ! も、あっ……それ、やっ…、だめ……んぁっ!」 行為はこんなにも激しいのに、湊の声はうっとりとしていて。 「遥の中、凄く気持ちいい。ね、溶けちゃいそうだ」 「やぁっ、んぅ……!」 繋がった場所がただただ熱くて、確かにそこから溶け合ってしまいそうだ。 「はぁ……そろそろ俺もイきそう。でも今日は…出していい?なんて訊いてあげない」 「んあっ、あぁ、な……に…?」 真っ白になりそうな意識を必死に引き戻し、遥はちらりと湊を振り返る。 「問答無用で、奥までたっぷり出してあげるってこと」 「やっ……あぁっ、んっ……ださな、で……っ」 体の奥を熱いものが満たしていくと思うだけで、むくりと期待が頭をもたげる。それを振り払うように、遥はきつく目をつむって小さく懇願した。 「そうやって遥は嘘つくんだから……悪い子にはお薬が必要だろ? 逃がさない、よ……」 「ひ……っ」 しっかりと遥の腰を固定し、湊は欲望を放つ。それがじわりと広がっていく感覚にがくがくと体を震わせながら、遥も絶頂に達した。 「ん……まだ、足りない」 「は…? あっ、やめ……っ」 くわえ込んだ熱が勢いを取り戻していく様子を感じ取り、遥は慌てて抜き出そうとする。だがそれより先に湊が遥の腰を掴み、ぐいっと自分の下腹へ引き寄せた。 「んぅ! ぁ、も…むり……っ」 「まだいけるって。…だって、こんなえろい遥見てたらまたムラムラしちゃってさ…」 ごめんね。 そう言いつつもやはり謝る気などなさそうに、湊は再度、遥の腰を揺すり始めた。 *** これがあれだ。やまなしおちなし。 ↑main ×
|