「んぅ……ふ、っ……」

時折舌を絡ませつつ、口腔内を優しくかき回される。と、ぞくぞくと背筋が痺れ、甘い熱が腰にたまる。歯列をなぞり、弱い部分に舌先が触れると口の端から唾液がこぼれた。
しかし久しぶりだからか、早くも酸欠で頭がくらくらしてきた遥は軽く湊の胸を押す。口を離した湊は遥の唇を指で拭い、小さく笑った。

「苦しかった? その割に気持ちよかったみたいだけど」

漏れる声からそう判断したのだろうが、遥はぷいとそっぽを向く。

「そ、なわけない……っ」

「そんなことある」

ボトムの上からぐっと自身を押され、遥はぶるりと体を震わせる。そこは確かに熱を持ち始めており、湊の手に撫でられるたびに遥は甘い声をこぼした。

「は、あっ……やめ…」

「ここでお預けされたらつらいだろ。俺だってもう限界」

はぁ、と熱っぽい息を吐き出し、湊はソファに腰かける。それから遥の手を引き、自分の膝の上を指差した。

「ここおいで。下は脱いでな」

「はぁっ? な、何で……脱げって…」

既に体は我慢の効かないところまで上り詰めている。早く触れてほしいのに、湊は自分で脱がすつもりはないらしい。ほら、と湊は手招きした。

「早くしないとつらいだけだぞ」

ずくずくと疼く体の欲求には勝てず、遥はしぶしぶ自分の下衣に手をかける。湊が見ている前で服を脱ぐなんて、と抵抗はあるが、体の中を焦がすような熱にはもう抗えない。思い切って下着とボトムを脱ぎ、Tシャツの裾を伸ばして前を隠しつつ、湊の上に乗り上げる。しかし途中で思い出したように眼鏡を外し、テーブルへ置いておいた。

「別に隠さなくたっていいのに。かわいいな」

湊の肩に掴まると、座高はもちろん遥のほうが高くなる。ぐいと後頭部を押されて口づけると、いつもは自分が下だからか少し違和感があった。

「ん、んぅ……んんっ」

シャツに潜り込んだ指がぐりっと乳首を押し込む。口を離し、湊はシャツをまくって肌に触れてきた。

「ぁ、あっ……んぅ」

ちゅう、と音を立てて吸われると下肢にじんわりと快感が伝わる。もう片方も指でこねられ、早々と立ち上がったそこを爪で弾かれた。

「あ、あぁ……っん、く…」

しがみつくように頭を抱えると、まるで胸に湊を押しつけているような格好になる。羞恥にかっと頬が熱くなった。

「ん……遥、俺の、緩めといて?」

舌で乳首を弄りつつ、湊は空いた手で自分の下肢を指差す。甘い吐息を漏らしていた遥は、告げられた意味を察するなり目を見開いた。

「な、何でそんな……ぁうっ」

くいくいと膨らんだ乳首を引っ張られ、既に先走りをこぼしている自身が僅かに揺れる。いいだろ、と湊はいったん口を離して微笑んだ。

「ね? こういうことは二人でするんだから。一緒なんだ、って感じたい」

決して自己満足の行為でないことを、湊は確認したかった。遥も同じ気持ちでいるのだと、今は強く思いたい。
遥は唇を噛み、おずおずと湊のウエストに手を伸ばす。ベルトとホックを外し、ゆっくりとファスナーを下げた。

「それで?」

期待するように湊が尋ね、遥は耳までを赤く染めて下着の中へ手を入れる。既に熱く脈打つそれを取り出すと、湊は遥の腰を掴んで楔を触れさせた。

「ぁあ……っ」

自身同士が擦れ、新たな熱と摩擦を生む。尻を掴み、ゆるゆると揺さぶってやると遥はきつくしがみついてきた。

「はあぁ、あっ……ん、んっ」

「は……すご。遥の、もうぬるぬるになってる」

ようやく与えられた自身への刺激にたがが外れてしまい、遥は自らも腰を揺らめかせる。括れを擦り合わせ、濡れた先端をつつかれるだけでいっそう自身が張りつめた。

「いい子。そのまま擦りつけてて」

遥の先走りでとろとろに濡れた自身を見て苦笑し、湊は遥の腰にあった手をそっと下げる。柔らかな双丘の狭間を指で撫でると、遥の体がびくっと跳ねた。

「ぁ、あぁっ……そ、こは…っ」

「ここも欲しいって、こんなにひくついてる」

湊の指にすぐ吸い付いたそこに、遥の先走りをしっかりと塗り込める。はくはくと口を開けて待つ後孔へ、まず一本を差し入れた。

「ふぁ……っ」

「中も熱くてとろとろだな。俺の指、凄い欲しがってる」

掴んだら離さない、と言わんばかりに湊の指をきゅうっと締めつけ、熱い粘膜で愛撫してくる。

「ほら、動いて」
「んっ、はぁ……あっ」

促されるままに遥は腰を揺らし、湊の熱い楔と自身の間で摩擦を起こした。その間に増えた指で中をかき回されて、ぐちゅぐちゅとはしたない音が聞こえてくる。ひと突きされるたびに指を深くくわえ込み、絞り尽くすように襞で締め上げる。そうするように遥の体へ教え込んだのは紛れもなく湊だ。

「はあ、あっ……あ、あんっ」

三本の指がバラバラに曲げられ、何度となく弱い箇所をこりこりと掠めてくる。遥はたまらずに背を反らしたが、湊と自身を愛撫するのは止めない。

「も、もうだめ……っあ、でちゃ……っ」

ふるりと腰を震わせれば、限界まで抑えこんだ熱がせり上がってくる。湊は頷き、指を器用に動かした。

「いいよ。先にイかせてやるから」

「ああぁあっ!」

ずぼずぼと揃えた指を抜き差しされ、遥はびくんっと体を仰け反らせて達してしまう。出したものがぱたぱたと下腹を汚し、湊自身にも降りかかった。

「ああ、ちゃんと濡らしてくれたから楽に入りそう」

白濁に濡れた自身に目を落とし、湊は遥の腰を掴んで持ち上げる。遥も湊の肩に触れた肘に力を入れ、腰を僅かに浮かせた。

「あ……んっ」

熱くたぎる自身が、狭いつぼみにひたりと押し当てられる。ひくひくとわななくそこへ早く質量を埋めてほしくて、遥は腰を揺らした。

「何て言うんだっけ?」

「い…ぃれ、て……」

はぁはぁと乱れた吐息に混じった声を聞き、湊は緩く首を振る。遥は困ったように眉を寄せた。

「たまにはね。"きて"って言ってほしいな。名前もちゃんと付けて」

ぐしゃぐしゃになった思考を何とか巡らせ、遥は口を開く。理性が少し戻ってしまったからか、恥じらいは抜けきっていない。

「み……みなと……、きて……っ」

湊は嬉しそうに頷き、やばいな、と軽くキスをした。

「かわいすぎて我慢できないかも」

「ぁあ……!」

張った先端部分がゆっくりと中を押し開く。遥は慌てて湊にしがみついた。

「力抜いてて。すぐ入れてあげるから」

「はうぅ……っ、入っ……ちゃ……んっ」

ずぶずぶとそこが太い楔を呑み込み、歓迎するように内部がひくつく。熱い粘膜をその形に変えていきながら、湊は確実に自身を埋めていった。

「んっ……ほら、わかるだろ? ちゃんと、ここで俺のことくわえてるの」

結合部を指でたどられ、遥は思わず楔を締めつける。湊も我慢できなくなったようで、遥の腰をしっかりと掴んだ。

「動くよ?」

「んっ、あっあ……! あっ、やぁ……、んんっ」

湊が動くと内部が擦れ、熱い楔をより中へと招く。それを抜き出され、また押し込まれるとたまらない快感が沸き起こった。

「っ……襞が絡みついて、俺の扱いてくる。そんなに気持ちいい?」

「ん、あっだめ……あぁ!」

尻を割り開き、その間へぱんぱんと楔を叩き込まれる。一度達したにも関わらず、遥の自身はしっかりと頭をもたげていた。

「は……凄い気持ちい…。もっと動くから」

「ふあぁんっ」

弱い箇所を掠めるよう、湊は腰をぐるりと回しながら突き込んでくる。楔をぐちゃぐちゃに打ち込まれ、頭の中が真っ白になった。

「あっあっ、ひぁ……っ」

楔をくわえたそこはひりつくほど熱いのに、湊が抜き出そうとするときゅううっと締まる。先端でぐりぐりと敏感な箇所を探られて、遥は生理的な涙をこぼした。

「も、だっ……だめ、そこ、はあぁ……!」

「わかってるよ。遥はここが気持ちいいんだって」

感じるところを狙って突き上げながら、湊の手はすっかり濡れそぼった遥自身に伸びる。きゅっと握り込めば、遥はぶるぶると腰を震わせた。

「ひあっ、だめ……そ、なこと……したら、ぁ…っ」

「俺もそろそろイくから……、いっぱい出していいぞ」

張りつめた根元の膨らみを揉み込み、自身で奥のほうをかき混ぜる。ずんずんと熱い楔に貫かれ、遥は腰を揺らめかせた。

「も、もうっ……だめ、あっ、あああぁあっ!」

白濁を吹き上げ、四肢を震わせて遥は絶頂を迎える。湊も最奥に楔を突き入れ、どくどくと一滴残らず熱を放った。

「ひう……あ、ぁつい……っ」

湊の証を注がれ、ぞくりと背筋がわななく。きゅ、とまだ中に入っている湊を締め上げると、再びそれが動き出した。

「あぁ! な、なんで……んぅっ」

「あれだけお預けされて、一回で足りるわけないだろ。もっと楽しまないと」

ね、と湊は微笑み、汗ばんで張り付いた遥の前髪をかきあげてキスを落とした。

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