:: 冬の日常
2020.01.22 (Wed) 22:56

佳「うんとこしょ!どっこいしょ!」

どさっ

佳「うえーい終わり! おばちゃんこれでいーい?」

おばさん「ありゃーずいぶんやってくれたんだね! ありがとう助かったわぁ」

佳「実家の農作業に比べたらちょろいもんよ、雪だってろくに降らないし」

おばさん「あんたすごいねぇ、はいお給金」

佳「はーい確かに! ぐへへ、収穫でこんだけもらえるなら全然いいわ」

おじさん「いやぁ助かったよ! ちょっと形崩れた野菜でよかったら持ってってくれ、あっ車出すかい?」

佳「ううん、大丈夫。車ならアッシーくんいるから(笑)」

ピポパ

佳「あーもしもし? 地図送るからちょっと山あいまで迎え来てくんない?」

ーーー

翼「人をこんな寒いところに呼び出して何してるんだ君は(T_T)」

佳「もちろんバイトよ。冬は雪かきとか単価のいいものあるからね〜」

翼「単価は良さげだが慣れていないと体壊しそうだな; で、これは? 野菜か?」

佳「雪の下キャベツよ、聞いたことないの?」

翼「そういえばテレビで見たな、寒さに耐えるために糖を作るから普通のものより甘くなるのだと」

佳「そ。で、今は収穫してる真っ最中なわけよ。学校のホームページにバイト募集の――あんたは見たことないだろうけど、そういうのがあんの。固定給プラス野菜のおまけ付き! ほら、ちゃっちゃと車に運んで!」

翼「ぐっ、重い……!」

佳「この温室育ちが。ほら、雪山に取り残されたくなかったら早く来いっての」

翼「ま、待ってくれぇ! さむっ! しぬ!(´;ω;`)」

バタン

佳「よっし、全部乗った!」

翼「ていうかなんでリムジンにキャベツと白菜乗せてるんだ私たち…(-.-)」

佳「ちゃんと新聞紙敷いてんでしょ。セバス、スーパー経由で小宮んち! よろしく!」

ーーー

ニュース『暖冬の影響で各地では雪不足が続いており…』

湊「この時期にスニーカーで歩けるなんて暖冬様々だなぁ。まぁ、なんかしっぺ返しがこれから来そうで怖いけど」

遥「しっぺ…?」

湊「去年みたいに、台風とか豪雨とかおかしくならなきゃいいなってこと。お、でも山の方は白いな、雪被ってるの窓からでも見える」

遥「平地だって、寒いのに変わりはない(こたつもぞもぞ)」

湊「こたつでごろごろしてるとまたぷに遥になるぞ」

遥「うるさい(怒)」

湊「元々やせてるんだからちょっと増えても全然いいと思うけどなぁ。餅ぱくぱく食べてぷにぷにしてたじゃん(笑) いてっ!」

遥「ふん……( ` ´)」

湊「あれぇ? 野菜たっぷり料理で元に戻ったのは誰のおかげかなー?」

遥「……(-.-)」

湊「次、ぷに遥になっちゃったらこたつえっちで汗かいて戻そっか(はぁと)」

遥「Σ」

湊「ん、LINEきてる。ルシか?グループの方だし ……雪の下キャベツ?白菜?」

遥「キャベツ…?」

湊「えっ、これから来んの! こたつえっちしてる暇ないじゃん!」

遥「今の話じゃないだろ(怒)」

湊「そそ、夜の話ね(^^)」

遥「ちがっ、ふ、とったらって…!///」

湊「えーそんなかわいー顔するならもう関係ないしー。うんうん、あいつらとっとと帰らせてあつーいことしちゃお」

ーーー

湊「よくもまぁ、こんな何玉もくれたな」

佳「千切れたり傷ついたりして売り物にならないんだってさ。もったいないよねー、そこだけなのに」

湊「他の食材も買ってきてくれたのか。やたら肉多いけど」

佳「へっへ、酒もあるし給料で立てかえたから後で割勘よ」

湊「そりゃいいけどバイト上がりとは思えないほど元気だな;」

佳「んー、でもさすがに野菜掘りは堪えたわ。疲れたからご飯できたら呼んで、そこで寝てる」

翼「そこってお前、人の家のソファ…;」

佳「ぐう」

翼「はやっ!」

遥「(佳奈子に毛布かける)」

湊「グループLINEてことは守山とかりんくんも来るんだろ? よーし、六人分がっつり作るか。なんか食べたいのあるか?」

翼「私はロールキャベツがいい。お洒落なソースとかいらん、コンソメ煮でいい(´・ω・`)」

湊「庶民かよ; 遥は?」

遥「……ミルふぇう…(噛んだ)」

湊「www」

遥「笑うな( `д´)」

湊「ご、ごめん……ミルフィーユ鍋ね、わかった……ぷっ」

遥「(怒)」

ーーー

か「お邪魔しまーす、キャベツ祭りにお呼ばれされちゃいました!」

凌「既に何品か形になっているな、さすがだ」

湊「もう何玉もあるからさ、片っ端から作ってんだけど。たくさんあるし、かりんくん少し持っていきなよ」

か「わぁいいんですか! おっきいキャベツですね〜」

佳「んぐ……なんだぁ、天使の声がするわね…」

凌「よし、そのまま川を渡れ(ぼそっ)」

佳「川? 川ってこの川でいいの? 渡れっかな…むにゃ……」

凌「いいな、振り向かずに渡れ。彼岸はもうすぐだ」

佳「おーけい………って、あんた人の耳元でなんつうことを囁いてんのよ」

凌「他人の家のリビングで堂々と寝こけている奴に言われたくないな」

佳「寝こけている奴が掘ってきたキャベツ食べる奴の台詞がそれかコルァ」

か「せーんぱい、だめですよそんなこと言っちゃ」

凌「すまん(即答)」

湊「おーい、だいたいできてるから運べるやつ持ってってくれ」

佳「あーいい匂い! これで高峰さん(キャベツ農家)たちも報われるってもんよ」

か「ただお呼ばれするのも何なので、少しですけど持ってきました。炊き込みご飯のおにぎりです(^^)」

凌「甘味はないだろうと思って適当に買ってきた。カットケーキだが」

湊「おー、ありがとな。よし、座って座って」

翼「うまそうだなぁ。これは何だ?」

湊「白菜のクリーム煮」

翼「これとこれは?」

湊「キャベツのペペロンチーノとバターしょうゆパスタ。こっちが簡易お好み焼き」

佳「うえーい、ミルフィーユ鍋あるじゃん! あとはコールスローとロールキャベツ、そんでもって餃子! えらい、えらいわ小宮、ほめてつかわす」

湊「はいはい。あ、言い忘れてたけど今日は諸事情で泊めてやれないからたとえ飲み潰れても帰れよ。はい、かんぱーい」

か「かんぱーい! ほえ、諸事情とは…(・ω・)」

凌「なんだ、明日の朝に予定でもあるのか」

翼「まぁ私、というか成島がいきなり押し掛けたのだから無理は言わんがな」

遥「(/-\)プルプル」

佳「あっ、そういうこと…(^q^)」


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